映画「君の名は。」 [アニメ]
新海誠監督のアニメーション映画「君の名は。」を見てきました。
新海作品は「彼女と彼女の猫」「ほしのこえ」以来、「雲の向こう、約束の場所」「秒速5センチメートル」とDVDで観てきたのですが、映画館で鑑賞したのは今回が初。
感想としては、最っっっ高に素敵な映画だった!の一言に尽きますね。
細田守版「時をかける少女」が好きな方は気に入るであろうタイプの映画です。
映画『君の名は。』(公式Webサイト)
以下若干のネタバレを含むので見ていない人はそっと閉じるかブラウザバック推奨。
独特かつ圧倒的な映像美はもちろん健在ですし、時空を超えた男女の想いの繋がりと擦れ違いを叙情的に描くというのも「ほしのこえ」以来連綿と続く特徴。ラストシーンなどはまさに「秒速5センチメートル」のセルフリメイクともいえる構成(有り体に言えば「秒5」のハッピーエンド版。まぁあれも別にグッドとかバッドとかそういうのではありませんが)。これまでのノウハウや得意技が存分に盛り込まれています。
しかし一方で、これまでの新海誠作品は独特かつ圧倒的な映像美と叙情的なストーリーが特徴ではあるものの、娯楽作品としてのキャッチ―さやカタルシスに乏しかったのも事実。映像は圧倒的に美しいけれど内容は地味というか、ちょっと尖っていて万人受けはしない。
そこが今回、従来からの圧倒的な映像美と叙情性はそのままに、エンタテインメント作品として見ごたえがあり、面白く、ドキドキとワクワクと感動に満ちた物語に仕上がっていた。
そこはまぁ善し悪しでもあるとは思いますが、インディーズ的な領域からメジャーのエンタテインメント作品としてのステップを踏み出した、叙情的な持ち味を残しつつ娯楽性も意識した作品になっていると思います。
■王道のストーリー構成
従来の新海作品は淡々と物語が進んでいくところがあって、それはそれで独特の語り口ではあったものの、メリハリとドラマチックさに欠けていました。その点は今回は実に王道な物語構成になっていて観る者を飽きさせないつくりになっています。
物語の構成はざっとこんな感じ。
起:それぞれの本来の日常が描かれる序盤。
承:入れ替わりを自覚し、入れ替わりながら過ごしていく日常。
転:ある日を境に途絶える入れ替わり。思わぬ事実の発覚。
結:解き明かされる謎と解決への光明。怒涛のクライマックス。
テンポの良いストーリー展開が観客を飽きさせないし、繰り返される“ネタ”も絶妙なスパイスとして効いている。適度なお色気やユーモアもキャッチーな要素。
布石と伏線の貼り方も見事で、クライマックスで次々とパズルのピースがはまっていき、観ている観客も「そうだ!」「あれだ!」と気付いていく。主人公たちに感情移入し「がんばれ!」という気持ちになれる。
そしてエピローグ。圧倒的なスピード感と緊張感で展開したクライマックスから一転、引っ張りに引っ張られ、観客はやきもきする。新海作品を良く知る人であれば間違いなく「秒速5センチメートル」も脳裏をよぎるでしょう。まさかまたバットエンドか…と(笑)そうして焦らしに焦らしたうえでのあのラストシーン。
正直言って、映像だけは圧倒的に美しいけれどお話は…な部分もあった新海作品ですが、本作で大きく化けたなと。
映像は文句なし。そしてお話も(ベタと言えばベタだけど)面白い。
複雑なSF的なエッセンスや設定、過去の新海誠的な叙情性やテーマを内包しつつ、思い切って万人ウケする娯楽的わかりやすさに振り切った。
そういう意味でもまさに集大成だなと。
エンタテインメント作品らしいカタルシス。フィクションだからこその可能性と願い、そして救い。未来への希望を感じさせる「結び」と「円環」の物語。
なんというか、うまく感想が書けないんだけど、エンドロールを眺めながら「あぁ、良かったなぁ」「あぁ、いい映画を観たなぁ」としみじみと思える素敵な作品でした。
サントリー天然水×『君の名は。』
追記:「君の名は。」も「シン・ゴジラ」も、多くの災厄・大災害を経験してきた今日の日本だからこその映画かもしれないし、これがエンタテインメントの力だよね。…とかナントカ。
新海作品は「彼女と彼女の猫」「ほしのこえ」以来、「雲の向こう、約束の場所」「秒速5センチメートル」とDVDで観てきたのですが、映画館で鑑賞したのは今回が初。
感想としては、最っっっ高に素敵な映画だった!の一言に尽きますね。
細田守版「時をかける少女」が好きな方は気に入るであろうタイプの映画です。
映画『君の名は。』(公式Webサイト)
以下若干のネタバレを含むので見ていない人はそっと閉じるかブラウザバック推奨。
独特かつ圧倒的な映像美はもちろん健在ですし、時空を超えた男女の想いの繋がりと擦れ違いを叙情的に描くというのも「ほしのこえ」以来連綿と続く特徴。ラストシーンなどはまさに「秒速5センチメートル」のセルフリメイクともいえる構成(有り体に言えば「秒5」のハッピーエンド版。まぁあれも別にグッドとかバッドとかそういうのではありませんが)。これまでのノウハウや得意技が存分に盛り込まれています。
しかし一方で、これまでの新海誠作品は独特かつ圧倒的な映像美と叙情的なストーリーが特徴ではあるものの、娯楽作品としてのキャッチ―さやカタルシスに乏しかったのも事実。映像は圧倒的に美しいけれど内容は地味というか、ちょっと尖っていて万人受けはしない。
そこが今回、従来からの圧倒的な映像美と叙情性はそのままに、エンタテインメント作品として見ごたえがあり、面白く、ドキドキとワクワクと感動に満ちた物語に仕上がっていた。
そこはまぁ善し悪しでもあるとは思いますが、インディーズ的な領域からメジャーのエンタテインメント作品としてのステップを踏み出した、叙情的な持ち味を残しつつ娯楽性も意識した作品になっていると思います。
■王道のストーリー構成
従来の新海作品は淡々と物語が進んでいくところがあって、それはそれで独特の語り口ではあったものの、メリハリとドラマチックさに欠けていました。その点は今回は実に王道な物語構成になっていて観る者を飽きさせないつくりになっています。
物語の構成はざっとこんな感じ。
起:それぞれの本来の日常が描かれる序盤。
承:入れ替わりを自覚し、入れ替わりながら過ごしていく日常。
転:ある日を境に途絶える入れ替わり。思わぬ事実の発覚。
結:解き明かされる謎と解決への光明。怒涛のクライマックス。
テンポの良いストーリー展開が観客を飽きさせないし、繰り返される“ネタ”も絶妙なスパイスとして効いている。適度なお色気やユーモアもキャッチーな要素。
布石と伏線の貼り方も見事で、クライマックスで次々とパズルのピースがはまっていき、観ている観客も「そうだ!」「あれだ!」と気付いていく。主人公たちに感情移入し「がんばれ!」という気持ちになれる。
そしてエピローグ。圧倒的なスピード感と緊張感で展開したクライマックスから一転、引っ張りに引っ張られ、観客はやきもきする。新海作品を良く知る人であれば間違いなく「秒速5センチメートル」も脳裏をよぎるでしょう。まさかまたバットエンドか…と(笑)そうして焦らしに焦らしたうえでのあのラストシーン。
正直言って、映像だけは圧倒的に美しいけれどお話は…な部分もあった新海作品ですが、本作で大きく化けたなと。
映像は文句なし。そしてお話も(ベタと言えばベタだけど)面白い。
複雑なSF的なエッセンスや設定、過去の新海誠的な叙情性やテーマを内包しつつ、思い切って万人ウケする娯楽的わかりやすさに振り切った。
そういう意味でもまさに集大成だなと。
エンタテインメント作品らしいカタルシス。フィクションだからこその可能性と願い、そして救い。未来への希望を感じさせる「結び」と「円環」の物語。
なんというか、うまく感想が書けないんだけど、エンドロールを眺めながら「あぁ、良かったなぁ」「あぁ、いい映画を観たなぁ」としみじみと思える素敵な作品でした。
サントリー天然水×『君の名は。』
追記:「君の名は。」も「シン・ゴジラ」も、多くの災厄・大災害を経験してきた今日の日本だからこその映画かもしれないし、これがエンタテインメントの力だよね。…とかナントカ。
タグ:アニメ感想
記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標または登録商標です。
引用の範囲を超えた無断転載・盗用等は固くお断りいたします。
Reproducing all or any part of the contents is prohibited.
(C)2010 yamakazu0215 All Rights Reserved.
コメント 0