「ラブライブ!」演出的みどころチェック(7~9話) [アニメ]
さて、7話~9話でついに9人のμ’sが誕生しました。廃校決定の危機をひとまずは回避し、また、「ラブライブ!」参加という新たな目標も提示される。物語の大きなターニングポイントのひとつです。
#07「エリーチカ」
出待ち
Aパートラスト、校門でμ’sの音楽を聴きながら待っている亜里沙。出待ちの様にも見えるけれど、実は姉の絵里を待っているシーンです(生徒会室で絵里が携帯電話に出る場面と、「お待たせ」という絵里の台詞からも判ります)。
が、冒頭で最近出待ちがあるという話題を出しておくことで、海未の出待ちのようにも見えるというのが面白いところ。
扉の開け閉め
生徒会室の扉を開けて入ろうとする希の動作から、部室の扉を開けて入ってくる海未というカットのつなぎ方が見事。
7話~8話にかけては、扉を使った演出が効果的に用いられています。
ちょっとショックが強すぎたかな
この台詞はもちろん海未の様子を見てのものですが、後ろで伸びてピクピクと痙攣している3バカトリオのことを指しているようにも聞こえて面白い。
見せ場が無かった穂乃果
穂乃果が中心的ではなかった珍しい回です。
#08「やりたいことは」
過去の自分を閉じ込める
絵里の回想シーンから理事長室を出てきた絵里の場面に切り替わる冒頭のシーンは、まるで絵里が過去の自分を閉じ込めるかのように、過去を閉ざすかのように描かれています。
電話会議
スマートフォンで複数同時通話でのやりとりというのが、実に現代的です。一昔前だと1対1の電話のやりとりがせいぜいで、こういったシーンの成立は難しかったでしょう。ある意味荒技ですが、違和感もない。画面を分割する演出もたいへん面白い。
心の揺らぎ
「ラブライブ!」で度々見られる演出効果の一つとして、キャラクターのアップのカットでカメラが僅かに揺れるというものがあります。強い意志、動揺する気持ち、揺れ動く心を表しているかのようです。8話では、絵里と希が対話する場面で印象的に用いられています。
こぼれ落ちる涙
希に本心を打ち明ける絵里。いつしかその瞳には涙が溢れています。この場面、涙が溢れる瞬間は描かれておらず、(絵里の涙を見て)はっとする希のカットで間接的に表現されています。直接見せず間接的に描くことでより印象的に、より鮮明に目に浮かぶシーンになっています。
9人だけの空間
「ラブライブ!」は環境音にもかなり気を遣っている作品です。そんな作品において「音が無い」という状況は、それだけ特別なシチュエーションであるということでもあります。
放課後の教室に一人佇む絵里、そこへ穂乃果が手をさしのべ、μ’sの9人が集うこの場面には音が一切ありません。外の物音も聞こえない、9人だけの特別な空間がそこにあります。そしてそこから、まるで心臓の鼓動のような、胸の高鳴りのようにリズムを刻む伴奏が入り、まさにμ’sの“誕生”の瞬間を奏でます。
僕らのLIVE 君とのLIFE
「ラブライブ!」プロジェクトのデビューシングルであり、まさに「私たちのスタートの曲」です。青々とした芝のグラウンドのカットで「遂にあの曲が来るか!」と期待感が高まります。
また、このシーンの冒頭は意図的に衣装姿が映らないようにレイアウトが工夫されていますが、穂乃果の横顔が映し出された瞬間に古くからのファンならば気付いたはずです。「これはあの衣装を着ているに違いない」…と。なぜならば、穂乃果が髪を編んでいるのは1stシングルの衣装の時だけだからです。
絵里加入シーンの演出、そしてグラウンドという場所、穂乃果の髪型、まさか…あの曲が来るのか…という期待は確信となり、そして映し出されるμ’sメンバー達の衣装姿。ファンの期待感を最大限に高め、そして応える。なんともニクイ演出です。
絵里の笑顔
本編ラストの「僕らのLIVE 君とのLIFE」を歌い終えたときの絵里の笑顔は、Bパート冒頭、回想シーンに出てくる幼少時の絵里の、踊り終えたときの清々しい笑顔と同じです。冒頭で閉じ込めていた過去の解放。あの頃の気持ち、嬉しさを取り戻したという気持ちが表れています。
#09「ワンダーゾーン」
虚構と現実のリンク
アニメ本編中で今度の日曜日にベルサール前で路上ライブをやるというお話を放送したまさにその次の日曜日に、実際にベルサール秋葉原でイベントをやる。秋葉原という街を舞台とし、キャンペーン展開などで秋葉原との関係性を積み重ね、2次元のダンスを3次元で再現してきた2.5次元コンテンツ「ラブライブ!」ならではの、バーチャルアイドル的な強みを最大限活かした面白い仕掛けです。
アニメの出来事が現実に起きる、アニメの世界を現実に感じられる面白さ。モデルになった場所が存在することの面白さや強みというのはまさにこういう部分にあるわけで、近頃よくある安易な地域振興狙いや単純な話題性狙いの(こういうのやっておけば食い付くんだろ的な作り手側の浅知恵が透けて見える類の)ものとは一線を画していると思います。
■3/10追記:イベント後の公式ツイート
3人で並ぶ
9話のラスト、穂乃果、ことり、海未の3人が神社の階段のところで並んで語り合う場面。この場面は3話の神社での場面と同じ劇伴が流れ、同じように3人が並ぶレイアウトが描かれ、同じように誓い(願い)を口にします。3話のリフレインを思わせる演出に、再び物語が大きく動き始める予感めいたものを感じさせられます。
唐突感のあるエアメール
本編ラストに唐突に、そしてこれまでの作風とは明らかに異質な見せ方で登場するエアメール。これは、このエアメールが今後の物語に大きな影響を及ぼす極めて重要なアイテムであり伏線であることを表しています。でなければ、これほど意味深な盛り込み方はしません。
9話は、ことりの「自分の問題はなかなか言い出せない」という性格も描かれた回でした。
#07「エリーチカ」
出待ち
Aパートラスト、校門でμ’sの音楽を聴きながら待っている亜里沙。出待ちの様にも見えるけれど、実は姉の絵里を待っているシーンです(生徒会室で絵里が携帯電話に出る場面と、「お待たせ」という絵里の台詞からも判ります)。
が、冒頭で最近出待ちがあるという話題を出しておくことで、海未の出待ちのようにも見えるというのが面白いところ。
扉の開け閉め
生徒会室の扉を開けて入ろうとする希の動作から、部室の扉を開けて入ってくる海未というカットのつなぎ方が見事。
7話~8話にかけては、扉を使った演出が効果的に用いられています。
ちょっとショックが強すぎたかな
この台詞はもちろん海未の様子を見てのものですが、後ろで伸びてピクピクと痙攣している3バカトリオのことを指しているようにも聞こえて面白い。
見せ場が無かった穂乃果
穂乃果が中心的ではなかった珍しい回です。
#08「やりたいことは」
過去の自分を閉じ込める
絵里の回想シーンから理事長室を出てきた絵里の場面に切り替わる冒頭のシーンは、まるで絵里が過去の自分を閉じ込めるかのように、過去を閉ざすかのように描かれています。
電話会議
スマートフォンで複数同時通話でのやりとりというのが、実に現代的です。一昔前だと1対1の電話のやりとりがせいぜいで、こういったシーンの成立は難しかったでしょう。ある意味荒技ですが、違和感もない。画面を分割する演出もたいへん面白い。
心の揺らぎ
「ラブライブ!」で度々見られる演出効果の一つとして、キャラクターのアップのカットでカメラが僅かに揺れるというものがあります。強い意志、動揺する気持ち、揺れ動く心を表しているかのようです。8話では、絵里と希が対話する場面で印象的に用いられています。
こぼれ落ちる涙
希に本心を打ち明ける絵里。いつしかその瞳には涙が溢れています。この場面、涙が溢れる瞬間は描かれておらず、(絵里の涙を見て)はっとする希のカットで間接的に表現されています。直接見せず間接的に描くことでより印象的に、より鮮明に目に浮かぶシーンになっています。
9人だけの空間
「ラブライブ!」は環境音にもかなり気を遣っている作品です。そんな作品において「音が無い」という状況は、それだけ特別なシチュエーションであるということでもあります。
放課後の教室に一人佇む絵里、そこへ穂乃果が手をさしのべ、μ’sの9人が集うこの場面には音が一切ありません。外の物音も聞こえない、9人だけの特別な空間がそこにあります。そしてそこから、まるで心臓の鼓動のような、胸の高鳴りのようにリズムを刻む伴奏が入り、まさにμ’sの“誕生”の瞬間を奏でます。
僕らのLIVE 君とのLIFE
「ラブライブ!」プロジェクトのデビューシングルであり、まさに「私たちのスタートの曲」です。青々とした芝のグラウンドのカットで「遂にあの曲が来るか!」と期待感が高まります。
また、このシーンの冒頭は意図的に衣装姿が映らないようにレイアウトが工夫されていますが、穂乃果の横顔が映し出された瞬間に古くからのファンならば気付いたはずです。「これはあの衣装を着ているに違いない」…と。なぜならば、穂乃果が髪を編んでいるのは1stシングルの衣装の時だけだからです。
絵里加入シーンの演出、そしてグラウンドという場所、穂乃果の髪型、まさか…あの曲が来るのか…という期待は確信となり、そして映し出されるμ’sメンバー達の衣装姿。ファンの期待感を最大限に高め、そして応える。なんともニクイ演出です。
絵里の笑顔
本編ラストの「僕らのLIVE 君とのLIFE」を歌い終えたときの絵里の笑顔は、Bパート冒頭、回想シーンに出てくる幼少時の絵里の、踊り終えたときの清々しい笑顔と同じです。冒頭で閉じ込めていた過去の解放。あの頃の気持ち、嬉しさを取り戻したという気持ちが表れています。
#09「ワンダーゾーン」
虚構と現実のリンク
アニメ本編中で今度の日曜日にベルサール前で路上ライブをやるというお話を放送したまさにその次の日曜日に、実際にベルサール秋葉原でイベントをやる。秋葉原という街を舞台とし、キャンペーン展開などで秋葉原との関係性を積み重ね、2次元のダンスを3次元で再現してきた2.5次元コンテンツ「ラブライブ!」ならではの、バーチャルアイドル的な強みを最大限活かした面白い仕掛けです。
アニメの出来事が現実に起きる、アニメの世界を現実に感じられる面白さ。モデルになった場所が存在することの面白さや強みというのはまさにこういう部分にあるわけで、近頃よくある安易な地域振興狙いや単純な話題性狙いの(こういうのやっておけば食い付くんだろ的な作り手側の浅知恵が透けて見える類の)ものとは一線を画していると思います。
■3/10追記:イベント後の公式ツイート
3月3日に放送した第9話「ワンダーゾーン」で「次の日曜日、この場所で」と絵里が言っていたとおり、ベルサール秋葉原で放送一週間後の開催となりました! そして、第9話を視聴した人はわかりますよね。そう、「ワンダーゾーン」は秋葉原のことです #lovelive Sun_わかば
— ラブライブ!公式さん (@LoveLive_staff) 2013年3月10日
3人で並ぶ
9話のラスト、穂乃果、ことり、海未の3人が神社の階段のところで並んで語り合う場面。この場面は3話の神社での場面と同じ劇伴が流れ、同じように3人が並ぶレイアウトが描かれ、同じように誓い(願い)を口にします。3話のリフレインを思わせる演出に、再び物語が大きく動き始める予感めいたものを感じさせられます。
唐突感のあるエアメール
本編ラストに唐突に、そしてこれまでの作風とは明らかに異質な見せ方で登場するエアメール。これは、このエアメールが今後の物語に大きな影響を及ぼす極めて重要なアイテムであり伏線であることを表しています。でなければ、これほど意味深な盛り込み方はしません。
9話は、ことりの「自分の問題はなかなか言い出せない」という性格も描かれた回でした。
記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標または登録商標です。
引用の範囲を超えた無断転載・盗用等は固くお断りいたします。
Reproducing all or any part of the contents is prohibited.
(C)2010 yamakazu0215 All Rights Reserved.
コメント 0