「ラブライブ!」2nd season 第11話感想 [アニメ]
#11「私たちが決めたこと」
冒頭、音ノ木坂の合格発表。廃校の危機に瀕していた(1年生が1クラスしかなかった)学校が受験番号3桁台にも及ぶ程の受験生を集めている。UTXを受けると言っていた雪穂も、亜里沙とそろって音ノ木坂に合格。音ノ木坂の生徒になれることを喜び、μ’sになれると喜ぶ亜里沙。そんな様子にふと浮かび上がる疑問。
「ねえお姉ちゃん。μ’sって、3年生が卒業したらどうするつもりなの…?」
これまでずっと棚上げにされてきた、残された大きな課題。
■穂乃果達が決めること
本大会まで1ヶ月を切り、最後の大詰めの練習プランミーティング。ですが、穂乃果は雪穂の言葉もあってか、どこか上の空です。そして雪穂と亜里沙の合格の話題から、なんとなく話は3年生の卒業のことに。にこは卒業できないかもなんて冗談を交えるも、重い空気が漂います。そんな空気を振り払うように絵里が立ち上がり言います。「ラブライブ!が終わるまでは、その先の話はしない約束よ。さあ、練習しましょう!」…と。
…しかし、それで良いのでしょうか。
校庭でのトレーニング。浮かない表情の穂乃果に、何かあったのかと尋ねる海未とことり。さすがお見通しです。雪穂に3年生が卒業した後どうするか問われたことを話す穂乃果。ならば、穂乃果はどう思うのか。
スクールアイドルは続ける。歌は好きだし、ライブも続けたい。でも…。
「μ’sのままでいいかってことだよね」
3年生が抜けたμ’sを、μ’sと言って良いのか。
そんな問いににこは言います。
「続けなさいよ。メンバーの卒業や脱退があっても、名前は変えずに続けていく。それがアイドルよ」
そう、それもひとつの在り方です。にこもその方が嬉しいと言います。
いずれにせよ、入る気満々の亜里沙のためを考えても、どうするかは決めておいた方が良い。花陽はそう言います。1期4話で、「μ’sのメンバーにして下さい!」そう言って仲間に入った花陽だからこその視点でもあります。
そんな花陽は、「私にとってのμ’sってこの9人で、ひとり欠けてもちがうんじゃないか…」という意見。真姫ちゃんも同意見ですが、にこの言うことも判る。「μ’s」という名前は残したい、受け継がれていって欲しいというのも理解できる。
では、絵里の意見は。
「私は決められない」それを決めるのは穂乃果達。その後のこと…これからのことを決めるのは、穂乃果達だと。半分はその通り。半分は、決めて欲しい、なのかもしれません。
ライブが終わってからと言って先送りにしてきた課題は、こうして今話し合うことに。難しい問いですが、自分たちできちんと決めないといけない。大会を曖昧な気持ちで迎えないためにも、「みんな」のためにも、「私たち」のためにも。
■私たちが決めたこと
穂乃果が家に帰ると、そこには亜里沙が遊びに来ていました。
舞い上がる亜里沙。「私…。μ’sに入っても問題ないですか…」
喜々として「ミュージックスタート!」を披露しμ’sの動画に瞳を輝かせるその姿は、無邪気なファンの姿を客観視させられているようでなんとも複雑な感覚です(苦笑)。
そんな亜里沙に雪穂が問いかけます。「亜里沙は、μ’sのどこが好きなの?」…と。
その夜。それぞれに思いを巡らせ、答を探し、考える6人。
「判らないよ」…穂乃果がぽつりと呟きます。
この場面の劇伴、どんなときもずっと、なんですよね。
一方その頃、月明かりの神田明神では、もうひとつの「私たち」。雪穂と亜里沙の、私たちが決めたこと。
「私はそうした方がいいんじゃないかなって思うんだけど、どうかな?」
努めて明るく問いかける雪穂に、亜里沙はどこか寂しげな笑顔で応えます。
「うん!」
翌朝。結局うまく考えがまとまらなかった様子で登校する穂乃果。そんな穂乃果に、雪穂と亜里沙が声を掛けます。
「私……。μ’sに入らないことにしました」。亜里沙の思いがけない一言。
「私、μ’sが好き。9人が大好き。みんなと一緒に、一歩ずつ進むその姿が大好きなんだ…って」
「私が大好きなスクールアイドルμ’sに、私は居ない」
「だから、私は私の居るハラショーはスクールアイドルを目指します!雪穂と一緒に」
「…だから、いろいろ教えてね、先輩。…なんてね」と照れ笑いの雪穂。
1期の頃から音ノ木坂の外にいる純粋なファンの象徴的存在として描かれてきた亜里沙。誰よりもμ’sのファンで、誰よりもμ’sに憧れてきた亜里沙。…そして、だからこそ知っているμ’sのほんとうの魅力。亜里沙が教えてくれた、μ’sのあるべき姿…。
当たり前のこと。判っていた筈のこと。もう、迷いはありません。
サブタイトルの「私たちが決めたこと」。私たちとは勿論、穂乃果達在校組の6人であり、μ’sの9人のことですが、雪穂と亜里沙というファン代表の「私たち」でもあり、それはイコール、ファンである「私たち」も含まれているのではないか。そんな気もしなくもない。
■9人で過ごす時間
Bパート。とある日曜日。「よーし!遊ぶぞー!」と張り切る穂乃果。
急遽みんなを集めて、今日は9人みんなで遊び尽くそうというのです。
急にどうしたのかと問う絵里たちに対し、「楽しいって気持ちをたくさん持ってステージに立った方がいいし」「今日暖かいし」と口々に理由を付ける1、2年生達。どうやらこの6人はこの日の最終目的を知っている様子です。
「でも、遊ぶって何するつもり?」とにこ。対して、「遊園地」「美術館」「アイドルショップ」と1年生トリオから出た答えはバラバラ。
「じゃあ、ぜんぶ!」
穂乃果は元気よく宣言します。みんなで行きたいところを一つずつ挙げて、全部行こう、と。
かくして、アイドルショップにゲーム対決に動物園にボウリングに美術館に公園に浅草に遊園地と満喫しまくります。
そして残るは穂乃果の希望。
「私は…海に行きたい」
誰も居ない海で、9人しか居ない場所で、9人だけの景色が見たい。
いよいよほんとうの…「最後の目的」へ。
海に着いた頃にはちょうど海に日が沈む頃でした。美しい夕暮れの景色、9人だけの景色。みんなで手を繋いで並びます。
「合宿の時もこうして朝陽みたわね」と絵里。
9人のμ’sができたばかりの頃、同じように浜辺に並んで朝陽を見た日のことが思い起こされます。朝陽だったあの日に対して、沈み行く夕陽。
そして、おもむろに穂乃果が話し始めます。
「あのね…。私たち話したの。あれから6人で集まって、これからどうしていくか」
「μ’sをどうするか。ひとりひとり答を出した。…そしたらね、全員一緒だった」
みんな同じ答だった。だから決めた。そうしよう、と。
「言うね…」一瞬言葉に詰まる穂乃果。
そしてみんなで一斉に…
『大会が終わったら、μ’sはおしまいにします!』
「やっぱりこの9人なんだよ…。この9人がμ’sなんだよ」
「誰かが抜けて、誰かが入って、それが普通なのは判っています」
「でも、私たちはそうじゃない」
「μ’sはこの9人」
「誰かが欠けるなんて考えられない」
「ひとりでも欠けたら、μ’sじゃないの!」
それぞれが思いを語ります。
「…そう」「うちも賛成や」
絵里と希は薄々この結論に至ると感じていたのでしょう。…というか、希は最初からそうだった。だって、「当たり前やんそんなの…。うちがどんな想いで見てきたか。名前を付けたか。…9人しかいないんよ、うちにとって、μ’sはこの9人だけ」だから。
そして、にこはそれでも抗いたかった。判っていたけど、だけど、抗いたかった。誰よりも熱い情熱でスクールアイドルをやってきたにこ。諦めかけていたところへ巡り会えた奇跡。だからこそ、手放したくなかった。残したかった。無くなって欲しくなかった。
「こんな素晴らしいアイドルに、仲間に巡り会えたのよ!終わっちゃったら…」
そんなにこの言葉を真姫ちゃんが遮ります。
「だからアイドルは続けるわよ!絶対約束する!…でも、μ’sは私たちだけのモノにしたい!にこちゃん達の居ないμ’sなんて嫌なの!私が嫌なの!!」
いつも素直な気持ちを表に出さない真姫ちゃんが、思いの丈を正直にぶつける。私の音楽は終わってる、アイドルなんて、と言っていた真姫ちゃんが、固く誓っている。だから、μ’sは消えて無くなったりしない。
その言葉に、にこも思わず泣きそう。花陽も、凛も泣きそうです。
と、唐突に穂乃果が叫びます。
「あーーーっ!時間!早くしないと帰りの電車なくなっちゃう!」
駆けだしていく穂乃果の目に光る涙…。
慌てて駅まで駆けていった9人でしたが、電車はまだ十分にあります。
「あのままあそこに居たら、涙止まらなくなりそうだったから…」
どうやら帰りの電車が無くなるというのは穂乃果の嘘だったようです。けれど、おかげで誰も居ない無人の駅に来ることができました。
「今日あの場所で海を見たのは私たち9人だけ。この駅で今こうしてるのも私たち9人だけ」
思いついたように穂乃果が言います。
「ねえ、記念に写真撮らない?」
じゃあ、と携帯で撮ろうとする花陽に、そうじゃなくて、と穂乃果が視線をやった先にあったのは、証明写真の撮影機。
■私達の証(あかし)
9人でギュウギュウになりながら証明写真を撮ります。
証明写真。カメラやプリクラでもなく、あえて証明写真。
飾らない、加工もしない。データやフィルムが手元に残るわけでもない証明写真。この9人が、奇跡的に集い、輝いてきたことの証明。この9人こそがμ’sであることの証明。ありのままの私達。この時間を共に過ごした証(あかし)。
写真を撮り終え、ホームに向かう9人。この一連のシーン。楽しそうにおしゃべりしているけれど、その表情は見えない。
ホームに辿り着いて、笑い声の中、映し出された笑顔の花陽の目には、大粒の涙。
ひとり、またひとりと堪えていた涙が零れる
みんな声を上げて、思いっきり泣きます。
そんな夕暮れの空に、美しく輝く一番星。
はじまりの頃に9人で見た朝陽。おわりを宣言して9人で見た夕陽。陽が暮れて、存分に笑って、泣いて、その後に最初に空に輝く一番星。
…そして、星が輝き出す。
■どんなときもずっと
涙の夕陽から数日。
いよいよラストライブまで1週間(現実時間でも次回まで1週間)。
晴れやかな表情で練習に向かう9人。
「ファイトだよっ!」と大きく力強く書かれたホワイトボードにはあの日の証明写真。
そしてエンディングですよ。「どんなときもずっと」ですよ「どんなときもずっと」。大事なことなので(ry
もちろん全員バージョン。それも、最初から最後まで全部を全員で歌うスペシャルバージョン。この最後の最後までちゃんと演出の一部になってるというのがホント凄い。いつもと同じ曲なのに、いつもと違うエンディングに聞こえてくる。
■最高のラストに向けて
ラブライブ!2nd seasonは、(1期の頃からそうでしたが)決して「ラブライブ!」という大会の物語ではありません(だから大会の様子そのものは殆ど描かれることがない)。これはμ’sの物語、夢を叶える物語です。
だから、そのために必要なこと、“最高の思い出になる最高の結果の最高の瞬間を残す”ために必要なことを積み重ね、不安材料を取り除いていく課程が、ひとつひとつ順を追って描かれてきました。
そして、その仕上げ、集大成としての9話、「みんな」という視点の10話を経ての今回。描かれたのは「私たち」。そしてこれまでずっと遠ざけてきた私たちの“その後”について決めること。
今回、冒頭からずっと、みんなどこか曇った表情でした。ミーティングも、練習中も、ずっと。それは、3年生の卒業やその先のこと、それらに対する躊躇いや迷い、もやもやした気持ちがあったから。
シリーズ中も、そして今回の冒頭に至るまでずっと「卒業」のことは先送りにしてきました(意図的に話題に出し匂わせ続け、そのたびに先送りにしてきた)。
しかしやはり、最後のライブが終わってから卒業後のことを考えよう……ではダメなんですよ。そんな気持ちでは最高のステージができない(最高のステージを終えた後に最高のラストを迎えられない)。だから、今決めないといけない。最高のステージを、最高の笑顔で、最高のキモチで迎え、悔いを残さないために。
夢を叶えるために。
だから、μ’sのこれからについてみんなで納得して決めて、いっぱい泣いた。
そしてラストシーン。練習に向かうみんなは冒頭とは打って変わってとても晴れやかな表情です。きっと最高のステージを迎えることができる。そう確信できる。
さあ、準備は整いました!
次回、「ラストライブ」。
1期3話の「ファーストライブ」と対になるタイトルです。
けど何だろう…この清々しい予感。楽しみです。
冒頭、音ノ木坂の合格発表。廃校の危機に瀕していた(1年生が1クラスしかなかった)学校が受験番号3桁台にも及ぶ程の受験生を集めている。UTXを受けると言っていた雪穂も、亜里沙とそろって音ノ木坂に合格。音ノ木坂の生徒になれることを喜び、μ’sになれると喜ぶ亜里沙。そんな様子にふと浮かび上がる疑問。
「ねえお姉ちゃん。μ’sって、3年生が卒業したらどうするつもりなの…?」
これまでずっと棚上げにされてきた、残された大きな課題。
■穂乃果達が決めること
本大会まで1ヶ月を切り、最後の大詰めの練習プランミーティング。ですが、穂乃果は雪穂の言葉もあってか、どこか上の空です。そして雪穂と亜里沙の合格の話題から、なんとなく話は3年生の卒業のことに。にこは卒業できないかもなんて冗談を交えるも、重い空気が漂います。そんな空気を振り払うように絵里が立ち上がり言います。「ラブライブ!が終わるまでは、その先の話はしない約束よ。さあ、練習しましょう!」…と。
…しかし、それで良いのでしょうか。
校庭でのトレーニング。浮かない表情の穂乃果に、何かあったのかと尋ねる海未とことり。さすがお見通しです。雪穂に3年生が卒業した後どうするか問われたことを話す穂乃果。ならば、穂乃果はどう思うのか。
スクールアイドルは続ける。歌は好きだし、ライブも続けたい。でも…。
「μ’sのままでいいかってことだよね」
3年生が抜けたμ’sを、μ’sと言って良いのか。
そんな問いににこは言います。
「続けなさいよ。メンバーの卒業や脱退があっても、名前は変えずに続けていく。それがアイドルよ」
そう、それもひとつの在り方です。にこもその方が嬉しいと言います。
いずれにせよ、入る気満々の亜里沙のためを考えても、どうするかは決めておいた方が良い。花陽はそう言います。1期4話で、「μ’sのメンバーにして下さい!」そう言って仲間に入った花陽だからこその視点でもあります。
そんな花陽は、「私にとってのμ’sってこの9人で、ひとり欠けてもちがうんじゃないか…」という意見。真姫ちゃんも同意見ですが、にこの言うことも判る。「μ’s」という名前は残したい、受け継がれていって欲しいというのも理解できる。
では、絵里の意見は。
「私は決められない」それを決めるのは穂乃果達。その後のこと…これからのことを決めるのは、穂乃果達だと。半分はその通り。半分は、決めて欲しい、なのかもしれません。
ライブが終わってからと言って先送りにしてきた課題は、こうして今話し合うことに。難しい問いですが、自分たちできちんと決めないといけない。大会を曖昧な気持ちで迎えないためにも、「みんな」のためにも、「私たち」のためにも。
■私たちが決めたこと
穂乃果が家に帰ると、そこには亜里沙が遊びに来ていました。
舞い上がる亜里沙。「私…。μ’sに入っても問題ないですか…」
喜々として「ミュージックスタート!」を披露しμ’sの動画に瞳を輝かせるその姿は、無邪気なファンの姿を客観視させられているようでなんとも複雑な感覚です(苦笑)。
そんな亜里沙に雪穂が問いかけます。「亜里沙は、μ’sのどこが好きなの?」…と。
その夜。それぞれに思いを巡らせ、答を探し、考える6人。
「判らないよ」…穂乃果がぽつりと呟きます。
この場面の劇伴、どんなときもずっと、なんですよね。
一方その頃、月明かりの神田明神では、もうひとつの「私たち」。雪穂と亜里沙の、私たちが決めたこと。
「私はそうした方がいいんじゃないかなって思うんだけど、どうかな?」
努めて明るく問いかける雪穂に、亜里沙はどこか寂しげな笑顔で応えます。
「うん!」
翌朝。結局うまく考えがまとまらなかった様子で登校する穂乃果。そんな穂乃果に、雪穂と亜里沙が声を掛けます。
「私……。μ’sに入らないことにしました」。亜里沙の思いがけない一言。
「私、μ’sが好き。9人が大好き。みんなと一緒に、一歩ずつ進むその姿が大好きなんだ…って」
「私が大好きなスクールアイドルμ’sに、私は居ない」
「だから、私は私の居るハラショーはスクールアイドルを目指します!雪穂と一緒に」
「…だから、いろいろ教えてね、先輩。…なんてね」と照れ笑いの雪穂。
1期の頃から音ノ木坂の外にいる純粋なファンの象徴的存在として描かれてきた亜里沙。誰よりもμ’sのファンで、誰よりもμ’sに憧れてきた亜里沙。…そして、だからこそ知っているμ’sのほんとうの魅力。亜里沙が教えてくれた、μ’sのあるべき姿…。
当たり前のこと。判っていた筈のこと。もう、迷いはありません。
サブタイトルの「私たちが決めたこと」。私たちとは勿論、穂乃果達在校組の6人であり、μ’sの9人のことですが、雪穂と亜里沙というファン代表の「私たち」でもあり、それはイコール、ファンである「私たち」も含まれているのではないか。そんな気もしなくもない。
■9人で過ごす時間
Bパート。とある日曜日。「よーし!遊ぶぞー!」と張り切る穂乃果。
急遽みんなを集めて、今日は9人みんなで遊び尽くそうというのです。
急にどうしたのかと問う絵里たちに対し、「楽しいって気持ちをたくさん持ってステージに立った方がいいし」「今日暖かいし」と口々に理由を付ける1、2年生達。どうやらこの6人はこの日の最終目的を知っている様子です。
「でも、遊ぶって何するつもり?」とにこ。対して、「遊園地」「美術館」「アイドルショップ」と1年生トリオから出た答えはバラバラ。
「じゃあ、ぜんぶ!」
穂乃果は元気よく宣言します。みんなで行きたいところを一つずつ挙げて、全部行こう、と。
かくして、アイドルショップにゲーム対決に動物園にボウリングに美術館に公園に浅草に遊園地と満喫しまくります。
そして残るは穂乃果の希望。
「私は…海に行きたい」
誰も居ない海で、9人しか居ない場所で、9人だけの景色が見たい。
いよいよほんとうの…「最後の目的」へ。
海に着いた頃にはちょうど海に日が沈む頃でした。美しい夕暮れの景色、9人だけの景色。みんなで手を繋いで並びます。
「合宿の時もこうして朝陽みたわね」と絵里。
9人のμ’sができたばかりの頃、同じように浜辺に並んで朝陽を見た日のことが思い起こされます。朝陽だったあの日に対して、沈み行く夕陽。
そして、おもむろに穂乃果が話し始めます。
「あのね…。私たち話したの。あれから6人で集まって、これからどうしていくか」
「μ’sをどうするか。ひとりひとり答を出した。…そしたらね、全員一緒だった」
みんな同じ答だった。だから決めた。そうしよう、と。
「言うね…」一瞬言葉に詰まる穂乃果。
そしてみんなで一斉に…
『大会が終わったら、μ’sはおしまいにします!』
「やっぱりこの9人なんだよ…。この9人がμ’sなんだよ」
「誰かが抜けて、誰かが入って、それが普通なのは判っています」
「でも、私たちはそうじゃない」
「μ’sはこの9人」
「誰かが欠けるなんて考えられない」
「ひとりでも欠けたら、μ’sじゃないの!」
それぞれが思いを語ります。
「…そう」「うちも賛成や」
絵里と希は薄々この結論に至ると感じていたのでしょう。…というか、希は最初からそうだった。だって、「当たり前やんそんなの…。うちがどんな想いで見てきたか。名前を付けたか。…9人しかいないんよ、うちにとって、μ’sはこの9人だけ」だから。
そして、にこはそれでも抗いたかった。判っていたけど、だけど、抗いたかった。誰よりも熱い情熱でスクールアイドルをやってきたにこ。諦めかけていたところへ巡り会えた奇跡。だからこそ、手放したくなかった。残したかった。無くなって欲しくなかった。
「こんな素晴らしいアイドルに、仲間に巡り会えたのよ!終わっちゃったら…」
そんなにこの言葉を真姫ちゃんが遮ります。
「だからアイドルは続けるわよ!絶対約束する!…でも、μ’sは私たちだけのモノにしたい!にこちゃん達の居ないμ’sなんて嫌なの!私が嫌なの!!」
いつも素直な気持ちを表に出さない真姫ちゃんが、思いの丈を正直にぶつける。私の音楽は終わってる、アイドルなんて、と言っていた真姫ちゃんが、固く誓っている。だから、μ’sは消えて無くなったりしない。
その言葉に、にこも思わず泣きそう。花陽も、凛も泣きそうです。
と、唐突に穂乃果が叫びます。
「あーーーっ!時間!早くしないと帰りの電車なくなっちゃう!」
駆けだしていく穂乃果の目に光る涙…。
慌てて駅まで駆けていった9人でしたが、電車はまだ十分にあります。
「あのままあそこに居たら、涙止まらなくなりそうだったから…」
どうやら帰りの電車が無くなるというのは穂乃果の嘘だったようです。けれど、おかげで誰も居ない無人の駅に来ることができました。
「今日あの場所で海を見たのは私たち9人だけ。この駅で今こうしてるのも私たち9人だけ」
思いついたように穂乃果が言います。
「ねえ、記念に写真撮らない?」
じゃあ、と携帯で撮ろうとする花陽に、そうじゃなくて、と穂乃果が視線をやった先にあったのは、証明写真の撮影機。
■私達の証(あかし)
9人でギュウギュウになりながら証明写真を撮ります。
証明写真。カメラやプリクラでもなく、あえて証明写真。
飾らない、加工もしない。データやフィルムが手元に残るわけでもない証明写真。この9人が、奇跡的に集い、輝いてきたことの証明。この9人こそがμ’sであることの証明。ありのままの私達。この時間を共に過ごした証(あかし)。
写真を撮り終え、ホームに向かう9人。この一連のシーン。楽しそうにおしゃべりしているけれど、その表情は見えない。
ホームに辿り着いて、笑い声の中、映し出された笑顔の花陽の目には、大粒の涙。
ひとり、またひとりと堪えていた涙が零れる
みんな声を上げて、思いっきり泣きます。
そんな夕暮れの空に、美しく輝く一番星。
はじまりの頃に9人で見た朝陽。おわりを宣言して9人で見た夕陽。陽が暮れて、存分に笑って、泣いて、その後に最初に空に輝く一番星。
…そして、星が輝き出す。
■どんなときもずっと
涙の夕陽から数日。
いよいよラストライブまで1週間(現実時間でも次回まで1週間)。
晴れやかな表情で練習に向かう9人。
「ファイトだよっ!」と大きく力強く書かれたホワイトボードにはあの日の証明写真。
そしてエンディングですよ。「どんなときもずっと」ですよ「どんなときもずっと」。大事なことなので(ry
もちろん全員バージョン。それも、最初から最後まで全部を全員で歌うスペシャルバージョン。この最後の最後までちゃんと演出の一部になってるというのがホント凄い。いつもと同じ曲なのに、いつもと違うエンディングに聞こえてくる。
■最高のラストに向けて
ラブライブ!2nd seasonは、(1期の頃からそうでしたが)決して「ラブライブ!」という大会の物語ではありません(だから大会の様子そのものは殆ど描かれることがない)。これはμ’sの物語、夢を叶える物語です。
だから、そのために必要なこと、“最高の思い出になる最高の結果の最高の瞬間を残す”ために必要なことを積み重ね、不安材料を取り除いていく課程が、ひとつひとつ順を追って描かれてきました。
そして、その仕上げ、集大成としての9話、「みんな」という視点の10話を経ての今回。描かれたのは「私たち」。そしてこれまでずっと遠ざけてきた私たちの“その後”について決めること。
今回、冒頭からずっと、みんなどこか曇った表情でした。ミーティングも、練習中も、ずっと。それは、3年生の卒業やその先のこと、それらに対する躊躇いや迷い、もやもやした気持ちがあったから。
シリーズ中も、そして今回の冒頭に至るまでずっと「卒業」のことは先送りにしてきました(意図的に話題に出し匂わせ続け、そのたびに先送りにしてきた)。
しかしやはり、最後のライブが終わってから卒業後のことを考えよう……ではダメなんですよ。そんな気持ちでは最高のステージができない(最高のステージを終えた後に最高のラストを迎えられない)。だから、今決めないといけない。最高のステージを、最高の笑顔で、最高のキモチで迎え、悔いを残さないために。
夢を叶えるために。
だから、μ’sのこれからについてみんなで納得して決めて、いっぱい泣いた。
そしてラストシーン。練習に向かうみんなは冒頭とは打って変わってとても晴れやかな表情です。きっと最高のステージを迎えることができる。そう確信できる。
さあ、準備は整いました!
次回、「ラストライブ」。
1期3話の「ファーストライブ」と対になるタイトルです。
けど何だろう…この清々しい予感。楽しみです。
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