「マジカルミライ」のBlu-rayで“ミライ”を体感する

　2013年8月30日、横浜アリーナで行われた初音ミク史上最大イベント「マジカルミライ2013」。そのライブステージを映像化したBlu-rayが発売になりました！
　今回のライブのキービジュアルイラストを手がけられたCHRISさんの描き下ろしイラストのBOXが実にキュートです。


　限定版は「マジカルミライ2013」の一日を紹介する30分の特別映像DVDとの２枚組で、こちらも充実の内容。今回のライブはコンサートと共にワークショップや各種展示も併催されており、こういった側面も初音ミクならではの面白さ。

　他にも、特典としてライブ会場で販売されたパンフレットのパッケージサイズ化＆再編集したライブパンフレット パッケージver.などが封入されています。

　とにかく盛りだくさんの充実の内容。

　今回のライブの冒頭、メインスクリーン（背面投影プロジェクタ方式の三面スクリーンというのがまた美しさとスケール感があって良い）に映し出されたオープニングムービーのラスト、初音ミクの姿が光の粒子となり、その粒子がステージ上に舞い降りて再びミクの姿に結像するという演出には本当に痺れた。この瞬間まさに、ミクはステージの上に降臨し、そこに実在する存在となった、そんな感じすら覚えました。

　ライブの感想自体はニコ生での生中継を見たときにも書いたとおりなんですけど、ホント、「Last Night, Good Night」の美しく幻想的なステージは息をのむほどですし、「Tell Your World」や「ODDS&ENDS」の力強く躍動感のある姿には本当に魂が宿っているかのようにすら感じられ、グッとくるモノがあります。

　あと、ライブ本編ではありませんが、エンディングのスタッフロールで流れる「ハジメテノオト」のストリングスアレンジバージョン、「ハジメテノオト ～Strings ver.～」がホント素晴らしい。涙出てくる。
　ハジメテノオト Strings ver. (feat. 初音ミク)（Amazon MP3ダウンロード）

　初音ミクといえば今や、２次元と３次元、バーチャルとリアルを飛び越える（世界的と言ってもいい）バーチャルアイドルの代表格であり、そのライブコンサートはバーチャルアイドルのライブとして唯一無二であり最先端を行っていると言っても過言ではないでしょう。

　アーティスト本人が出てきて生で歌いました。ハイ、嬉しいでしょ？こんな殿様商売はすでに終わってる。やるならテーマパークのアトラクションレベルでナンボ。という意見に、ある意味コレほど説得力を感じさせる実例は他に無い。

　なにせこのライブ、生歌でも無ければ生身ですら無いのですから。
　アーティスト本人が出てくるどころのレベルじゃない。
　生演奏だけど、それは“実在感”を補強する要素としての側面が強い。
　そしてそんなライブに１万人の観客が熱狂し声援を送っているという事実。
　そこには、生歌でも生身でも無いからこそ、という部分も多分にあるでしょう。

　緻密に設計され、完璧に作り込まれ同期したステージ演出が、投影技術が、バンド演奏が、（予め作られた映像であるミクのパフォーマンスにあらゆるモノを完璧に同期させることで）バーチャルの存在である初音ミクをそこに“実在する”存在として作り上げていき、そこにミクが居るという感動と体験で、バーチャルシンガーだからこそなしえる現実を超越した演出とパフォーマンスの数々で観客を魅了していく。

　ミクのライブコンサートを観るといつも感じるのですが、そこにいろんな意味で“ミライ”があるという感想に尽きます。

　音楽の新しい姿や新しい創作の可能性としての未来。ほんのつい十数年前までSFアニメの中の空想の産物であり夢物語だったバーチャルアイドルという存在がこうして現実のものとなり、ステージの上に初音ミクとして存在して“居る”。文字通り「未来（ミク）」がそこにあるという感覚。
　そして、生身でも生歌でもない架空のアイドルのライブが人々を魅了し感動させているその現象はまさに、時代の遥か先を行き、未来（ミライ）のライブコンサートの姿を先取りしている。

　今はまだ技術的な限界が立ちはだかっていてステージから飛び出してくることはできないけれど、いつかそれも克服する日が来るのかもしれないと思うとワクワクするものがありますね。

初音ミク マジカルミライ2013 限定版 [Blu-ray]

• 出版社/メーカー: 角川書店
• メディア: Blu-ray

タグ：初音ミク