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ミルキィホームズが凄い10の理由・その2 [アニメ]

思いの外長くなったので、二つに分けました。
というわけで、続き(6~10)です。

その1はコチラ

6.シンプルで直球な画づくり

8話アイキャッチ
 ミルキィホームズのアニメーション制作の元請けはJ.C.STAFF。高い水準の映像を制作するスタジオのひとつですが、今期は他に複数の大物タイトルを回しており、明らかにそちらに主力のリソースが割かれている雰囲気が伺えました。おそらくゲーム版のアニメーションパート制作も同時進行していた可能性もあり、ミルキィホームズ班の体制は決して盤石ではなかったものと思われます。正直に告白すると、アニメPVを初めて見たときは「J.C.にしてはなんか微妙」と思ってしまったくらい。
 しかしながら、そんな逆境がむしろプラスに作用した、あるいは逆手にとったのではないでしょうか。
 近頃のアニメはやたらリアルで緻密に書き込んだり、CGを駆使したり、エフェクトやフィルターにこだわったり、いわゆるシェーディング的な部分で奇をてらったりするものが多いのですが、ミルキィホームズにはそういった映像表現はほとんど見受けられません。そんな手間や予算のかかることはやってられない、という実情もあった可能性もありますが、そもそもミルキィホームズの作風ではないのであえてシンプルで割と古典的な(ハーモニー処理なんて久々に見た気が)、奇をてらわない素直な画づくりを選んだのだと思います。そしてそんな素朴さがかえって目新しく、また映像としても見やすく、うまく他の作品との差別化にもつながっていました。
 あと、ミルキィホームズは、最近ありがちなTV局の規制がかかるほどの過激な描写であからさまに客を釣ろうという小賢しさもありませんでした(むしろ、光線や墨で隠せばいい、というのは、何の工夫もなく作り手の底の浅さを感じさせます)。お色気描写はあっても、見せ方が上手かったり、潔くてバカ正直でした。6話の着替えシーンは上手い!と思ったし、7話は古き良きお色気ギャグな潔さがありましたね。

7.アニメーション映像としての楽しさ

9話アイキャッチ
 一見すると作画水準は低いように思われがちですが、多くの視聴者にとって「ミルキィホームズにおいては作画の乱れすらも魅力の一部」と許容されています。作画崩壊などという批評とは無縁。なぜか。
 ミルキィホームズ、実はかなり表現豊かで面白いアニメーションを見せてくれるのです。結果として、見ていて楽しいアニメになり、多少の作画の乱れなど取るに足らない、という空気が形成されるに至ったのではないでしょうか。
 作画の力を抜くところは潔く抜いて、その分見せ場に力を入れたり、動かすところも中割をたくさん使うところと、少ない中割でダイナミックに絵を崩して派手に動いているように見せるところをうまく織り交ぜてあり、全体的に多彩な表情を見せ、なおかつよく動いているように見えます。
 中割で遊ぶカットも印象的でした。これもおそらくは中割の手間を削減するために取り入れられた手法かと思われますが、これが逆に中割のネタ探しとして大いに盛り上がったのは周知の通り。一昔前のギャグアニメでは当たり前のように用いられていたものの、最近はめっきり見かけなくなった表現だけに、かえって新鮮だったというのもあるかもしれません。
 こうした部分からは、制作スタッフが限られたリソースの中で描き込み具合や動画の緩急の付け方を巧みにコントロールしている様子が見受けられ、クオリティ至上主義・作画至上主義に囚われず、また、決してノリと勢いだけではない、確かなバランス感覚を持って制作されたことの表れではないかと思われ、大いに評価したいところです。
 また、時折見せる大胆でダイナミックな動きは、すげぇな、アニメーターの執念だな、大変だけど楽しそうだな、と思わされました。
 決して俗に言うハイクオリティな映像ではありませんでしたが、だからどうしたと言わんばかりにアニメーションの面白さ、楽しさの本質を改めて見せてくれた、という点で、ミルキィホームズは凄いと思うのです。

8.驚異のコメント率100%オーバー

10話アイキャッチ
 ニコニコ動画の配信では、再生数に対するコメントの割合がほぼ100%を超えるという恐るべき現象を巻き起こしています。
 ざっと調べたところでは、ニコニコ動画アニメチャンネルでコメント率100%をコンスタントに叩き出している作品は他に見当たりません。それどころか、ミルキィホームズのコメント数はアニメチャンネル内でトップクラスなのです。
 ツッコミたくなる。ツッコミを入れるのが楽しい。みんなでツッコミを入れると更に楽しい。合いの手のような“お約束”が楽しい。ここまでくると一種のお祭りなので参加して楽しまないと損。…などの理由が複合的に作用した結果なのかもしれません。他にも、猛烈なテンポの良さにツッコミが追いつかない、意外な伏線や中割の遊びに何度も繰り返し見たくなる、というのも大きく作用しているでしょう。
 アニメの動画配信を鑑賞する際はコメント字幕は邪魔だと感じる人も多いと思いますし、時として荒しやネガティブな方向への同調などが起きることもありますが、ミルキィホームズにおいてはむしろ、コメントを表示して、さらにコメントを書き込んでもっと楽しもう、と思えてしまう人の方が多かったのではないでしょうか。そういう意味では、ニコニコ動画の特徴を最大限に、かつ、ポジティブな方向に活かすことに成功した数少ないアニメ配信事例、とも言えます。

9.放送開始後の大ブレイク

11話アイキャッチ
 ミルキィホームズがダークホースと呼ばれるようになり注目を集めるようになったのは、確か3話あたりからだったでしょうか。ちょうどこの頃、著名な業界人などの絶賛の声が話題になり始め、じわじわと注目を集めるようになったと記憶しています。そして、偶然にもあの4話。狙っていたとは到底思えないし、正直なところ1話のつかみは弱かったので、運も味方したというとこですかね。
 それにしても、放送開始後に失速していくアニメは多々あれど、ここまで急速にブレイクすることはかなり珍しい。それは即ち、きちんと中身を伴っていたと言うことの表れでもあり、それが視聴者に伝わったということでもあります(twitter上での著名人の発言などが起爆剤、というのがイマドキですね)。また、合いの手をはじめ、視聴者の間でとことん楽しもうという空気が形成されたことも大きな要因ではないでしょうか。地道なプロモーション活動が功を奏したというのも大きいでしょうね。
 大げさなPRや話題作りで先行逃げ切り…ではなく、きちんと地に足をつけて楽しい魅力的な作品を届けたい、という作り手の真摯な想いが成就した、ということにしておきましょう。
 あとはこれがセールスという形で実を結んでくれるといいのですが…。

10.娯楽作品である

12話アイキャッチ
 ミルキィホームズは優れたエンタテインメントに備わっているとされる要素をきっちり盛り込んだ、サービス精神に溢れた紛れもない王道直球勝負の娯楽作品でした。
 見ていて楽しい。何よりそこが凄い。


以上、ミルキィホームズが凄い10の理由でした。

他にも、音楽が凄いとか、中の人が凄いとか色々あると思いますけど、とりあえずこんなところで。まぁ、ダラダラ語っちゃってますが、こんなに語りたくなってしまうミルキィホームズって凄い!…ということでw

あ、ちなみに記事中の写真は1話から12話までのアイキャッチです。
個人的には9話が一番のお気に入り。

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 ※この記事は2010年12月時点の状況及び1期シリーズでの見解です。


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