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そうそう、12話は冒頭のアバンタイトル無しでいきなりオープニングから始まるという構成だったのですが、ある意味で小細工無しの究極の王道直球勝負とも言える構成ですよね。
さて、東京地区大会に向けて練習に励むみんな。いつにも増してコーチに気合いが入る千砂都ちゃん。そしてヘトヘトになりながらもだいぶいい感じになってきたからこの調子でもうワンセットとこちらも気合い入りまくりのかのんちゃん。
「頑張った分だけできるようになっていくのって、楽しいなって思って」と、今の充実した気持ちを語ります。
そんなかのんちゃんを見て「以前より大分変わりましたね。前向きになったというか」と語る恋ちゃんに、「これがかのんちゃん。私が知ってる」と千砂都ちゃん。
あまり無茶しすぎると某グループのリーダーの様にならないかと若干心配になるのですが(笑)、どうやら心配無用のようです。
とそこへ、恋ちゃんに理事長先生からお呼び出しが。
「恋ちゃん、またパソコンで見ちゃいけないものを…」見てしまったわけではなく(見てしまったのかもしれませんがw)、入学希望者が大幅に増えたとの知らせ。しかも、恋ちゃんのお父さんから必要なお金を学校に寄付したいという申し出まで。
恋ちゃんのお父さん、学校に対してしっかりとした援助を行うためにも海外での仕事を中途半端にはできなかった、ということだったのかもしれませんね。恋ちゃんの嬉しそうな表情も印象的でした。
というわけで、学校は生徒数の面でも資金繰りの面でも当面は安泰のようです。
Liella!のライブをきっかけにかなりの人が興味を持ってくれたのも確かなようで、頑張った甲斐がありましたね。
■自分たちのステージ
さて、気になる東京大会の詳細が今夜発表と言うことで、放課後は可可ちゃんの家に集合(さすがにもう段ボールの山は片付いていましたw)。
開催日は12月25日のクリスマス。しかも今回はリモートで各学校ゆかりの場所からの生中継という方式。
リモートライブというのが今のご時世を反映しているなぁとも思ったところですが、そこをうまく利用して、自分たちでどこをステージにしてどう見せるか、自分たちの魅力を最大化できる場所選びという要素をプラスしてくるのが面白い。
どの学校も自分たちの魅力を最大限に表現できるとっておきの場所を用意してくるはず。サニパはもちろん神津島でしょうから、あの美しい景色は大きな武器ですよね。
帰宅したかのんちゃんは家族のサプライズで地区予選突破のお祝い。相変わらずお父さんは背中で語るのみなのはシリーズのお約束w
中学校でも話題になってるらしく、着実に地元で有名なスクールアイドルになりつつあるようですね。
翌日、東京大会がリモートライブであることをナナミちゃん達に伝えると、ステージをどこに作るか興味津々。「いま現実的なのは体育館かなぁって…」と率直な考えを伝えるかのんちゃんでしたが、みんなからは東京大会で決勝進出がかかってるのに体育館とか欲がなさ過ぎると冷ややかな反応w
まぁ、体育館もそれはそれで学校のアイドルらしくて悪くはないと思うんですけど、どの学校もだいたい同じだから代わり映えしないというのも確かですねw
さてどうしたものか。
「みんな冬休みだし、外だといろいろ大変かなと思って」と気を遣うかのんちゃんに、すみれちゃんは気を遣いすぎ、もはやLiella!はこの学校の代表なのだからと言います。
「私は…本当は、歌えるだけで…」とポツリとつぶやくかのんちゃん。
そうですね、また歌えるようになった場所として続けてきたのが、気がつけばなんだか大袈裟ななことになってきてますからね。
そこへフラフラになった可可ちゃんがやってきます。なんでも片っ端からライブ施設を当たってきたものの、スクールアイドルには不向きだろうということで結局ダメだったとのこと。まぁ確かにライブハウスとかで普通にやっても…という気もします。
■勝つことの意味
とはいえ、なんだかんだでそろそろ決めないといけません。
ひとまず「家に帰って一晩考えてみるよ」と帰宅してみれば…。
なんとサニパのふたりが来ていました。…っていうか、夏服!?w
東京大会に向けた買い出しに来たというふたり。
「お互い正々堂々、最高のステージにしよう」「でも、勝のは私たちだよ」という言葉に勢いで「私たちも負けません!」とは言ったものの、いろいろ思い悩むところもある様子のかのんちゃん。
というわけで、5話以来再びのサニパ相談室です。
歌で勝ったり負けたりということがいまひとつしっくりこないかのんちゃん。かといって負けても平気という訳でもないし、もちろんいい歌を歌いたいし最高のライブを披露したい。
「でも私、ずっと歌えないかもって不安があったから、自由に表現できるだけでもう、本当はそれだけで幸せで…」
そうなんですよね。歌が大好きなのに思うように人前で歌えなくなって、でもそれが再び歌えるようになって、今はその喜びである意味満ち足りているというのもあるでしょう。
確かにそれもそうで、摩央さんも「君の言うことはわかるよ。歌は競うものじゃ無いかもしれない。自分一人でも楽しめるしね」とそこは同意です。
一方で、よりよい歌を歌う、という意味では、競い合い高め合っていくこともまた有意なことではあります。そして劇中でも度々言及されているように、それによってスクールアイドルのレベルは高まっている。
「納得いかない?」
「いえ、まだそこまで気持ちが…」と言うかのんちゃんに、摩央さんが一言。
「大丈夫、ラブライブ!で歌えば、すぐ気付くはずよ。なぜみんな勝ちたいか。…いや、勝たなきゃって思うのか」
まぁ、こういうのは体験してみるのが一番です。
「なぜ勝ちたいか…」
その意味を考えながら家路につくかのんちゃん。途中、表参道のケヤキ並木のイルミネーションが点灯される光景を目の当たりにします。
そしてそんなかのんちゃんをこっそり見てるナナミちゃん、ヤエちゃん、ココノちゃんの3人。いよいよ通称「神モブ」の本領発揮でしょうか。
イルミネーションの光景にステージのヒントを得たかのんちゃん。
「今回のテーマは星!…でどうかな?」
満天の星を体育館いっぱいに作り出そうというアイディアにみんなも賛成。ならば早速準備に取りかからないと、というところで…。
「そこまでっ!」とナナミちゃん達が登場。
かのんちゃん達は練習に集中して、ステージの準備は私たちに任せて欲しいと申し出てくれます。
新設校で1年生しか居ない結女は、どの部活も大会に出てもすぐに負けてしまう。そんな中でここまで頑張っているかのんちゃん達は学校の希望でもあるから応援させて欲しい、と。ありがたい申し出です(このとき既に体育館ではなく表参道の並木道そのものをステージにするつもりだったのでしょう。そしてサプライズにするためにかのんちゃん達を準備から遠ざけた)。
「イイハナシデス!イイヒトたちデス!」と感動の涙な可可ちゃん。
「なに泣いてんのよ」と言うすみれちゃんの目にも涙。
「お前が言うなデス!」とか言うおまえが言うなですw
まったくこの二人はw
というわけで、お言葉に甘えてかのんちゃん達はランニングへ。
「ちーちゃん。私、この学校で良かった。こんなに心がワクワクする毎日になるなんて、思ってもいなかった」と喜びを口にするかのんちゃん。
かのんちゃんだけじゃない。みんなも同じです。
可可ちゃんは憧れのスクールアイドルを始めるためにやって来て、スバラシイコエノヒトにも巡り会えてこうして活動できている。サニパにも会えた。千砂都ちゃんは幼い日の誓いを実現できている。すみれちゃんは華やかなステージでスポットを浴びて、センターにもなった。恋ちゃんはまさにこんなにも楽しい学校生活が、そしてお母さんが体験したスクールアイドルの楽しさを実感できる日々が待っているとは思ってもいなかったでしょう。
素晴らしい巡り合わせと奇跡です。
■それぞれの朝
本番当日。朝早くに目が覚めるかのんちゃん。本番は夜なので二度寝…せずに起きます。思い切って窓を開けると、外は小雪が舞っています。
一方、神社の境内に積もった雪を払っているすみれちゃん。ブツブツ文句を言う姉を叱る妹ちゃんしっかりしてるw
そこへ可可ちゃんが駆け込んできます。
「これを1日だけ預かってくだサイ」と、いつも部屋に飾って大事にしているサニパの額入りポスターを持ってきたようで、「あんたの宝物じゃないの?」とすみれちゃんが聞くと…。
「今日だけはライバルデス。…今日だけは、ファンをやめマス!」
いやぁもうさすが名言メーカー可可ちゃん。これまで度々サニパの熱烈なファンとしての姿を描いてきたからこそ、この発言と行動に可可ちゃんの本気とLiella!への想いが伝わってきます。
そんな可可ちゃんに神社のお守りを渡すすみれちゃん。
「一応渡しておくわよ、これからも一緒に続けられるように」
まったくこの二人はw
代々木公園では千砂都ちゃんがトレーニング。足下には大きな5つの丸が描かれています。「大きなまるになったねぇ」と感慨深い。
恋ちゃんはお手伝いさんのサヤさんと朝のティータイム。またお手伝いさんとの日々が戻ってきたようで、良かったですね。
かのんちゃんは1話の時とは真逆な登校風景。もうヘッドフォンも必要ありません(でも高そうなヘッドフォンなので普通に音楽を聴くのにはちゃんと使ってあげてくださいw)。
そんな朝のひとときを経て、学校に集まったみんなは夜の本番に向けて最後の練習。
で、気になるのはステージの様子です。
「驚かせたいから夜まで待ってって。できたら呼びに行くからって」
と言われているものの、やはり気になります。
雪も降っていることだし、練習はほどほどで切り上げて手伝いに行くことにしたのですが…。
体育館はまさかのもぬけの殻。
「ステージがぬわぁいいいい~!」
まさかの仕打ちと絶望しているところへ、「かのんちゃん!」とヤエちゃんが駆けつけてきます。が、「あんまりなんじゃない!」と久々のやさぐれかのんちゃん…というか、マジギレかのんちゃんw
「違うの!すごくいいステージができそうだよ!ここよりもっと素敵な場所!」
と言われて行ってみると、なんと結女のみんながキャンドルで光の道を作ってくれていました。
■光の道
「…これって…」
「この道を進めば」「かのんちゃんのステージが待ってる」「結ヶ丘のみんなで用意した、最高のステージが」
これは感動のサプライズです。
「がんばれ!Liella!」
結女のみんなの声援を受けて走り出すLiella!
いにしえのファンとしては、あの名作エピソード、ラブライブ!2期9話「心のメロディ」を彷彿とさせる展開に思わず涙ですよ。
結女のみんなが作ってくれた光の道を駆けていったその先に待っていたのは、表参道の光の並木道に設けられた見事なステージ。
「学校のみんなで、町の人に頼み込んだの。そしたら、この時間だけ自由に使ってもいいって」
「ここで歌えるの?」と驚きを隠せません。
「うん!町の人も協力してくれたんだ!」
学校のみんなも凄いけれど、ここまで協力してくれる町の人達も凄い。
なんだかんだで小学校や中学校で話題になっていたようですし、古くから住んでいる方達には神宮音楽学校時代の学校アイドルの子達の活動も思い起こされたのかもしれませんね。この地に根付いた想いが結ばれたステージ。そう考えるとまさに「私たちだからできる、私たちにしかできないステージ!」です。
「さあ!見せて!Liella!5人の、最高のライブを」
■始まりの星の輝き
「みなさん初めまして!私たちは、結ヶ丘女子高等学校スクールアイドル」
「Liella!です!」
「このステージに立って、この景色を見て、私は胸を張って言えます!」
「結ヶ丘の生徒になって良かったって、この学校が一番だって!」
「私たちの歌を…聴いてください!」
新曲「Starlight Prologue」
もう素晴らしいの一言でしたね…。
キラキラと美しい満天の星空のようなステージ、Liella!ならではの光の五線譜の様な装飾や、パート分けに合わせて流れてくる光の演出は奥行き感も感じられて素敵でした。カメラワークや構成も見事で、やはり京極監督のライブシーンは最高にラブライブ!です。
衣装もとても可愛かった。デザインされた如月さんによると「冬の星空の妖精」のイメージなのだとか。単にメンバカラーというだけではなく、マントが他のメンバーの色とグラデーションになっているのも素敵ですよね。結ぶ、繋がる、というエッセンスもLiella!の特徴かもしれませんね。
5人で言葉をつないでいくような歌もLiella!ならではの魅力ですし、課題である独唱パートもスバラシイウタゴエでした。
そして緊張の結果発表。
5位、4位、3位、まだLiella!の名前は出てきません。2位は…
Liella!
…惜しくも東京地区予選2位敗退。
1位はSunny Passion。
残念ながらLiella!の決勝進出はならず。あっけない幕切れです。
「ダメだった、ごめん…」と謝るかのんちゃんに、「ううん、ありがとう、最高のステージだったよ」「私、凄く誇らしくて感動した」「ごめんね、勝たせてあげられなくて…」と声をかけてくれるみんな。ステージに使える時間も限られています。後片付けもしないと。
「…そっか、こういうことなんだ」
摩央さんの言葉の意味を理解したかのんちゃん。
そして芽生える気持ち。
「ちーちゃん…わたし、くやしい」
「みんなが協力してくれたのに、なにも返せずおしまいになっちゃった…!」
だから…
「勝ちたい…。私、勝ちたい!」
「勝って、ここにいるみんなを笑顔にしたい!」
歌でみんなを笑顔にしたい。それはかのんちゃんの叶えたい夢でした。それがまだ叶っていない。
「やったって、みんなで喜びたい!」
「私たちの歌で、Liella!の歌で、結ヶ丘の歌で優勝したい!」
「…いや…優勝しよう!」
もちろんみんなも同じ気持ちです。
「当たり前でしょ…!」
「Liella!はこんなところで終わりマセン!」
「私は最初からそのつもり」
「結ヶ丘は一番の学校です…」
まだ叶えていない夢があります。叶えたい夢があります。
叶え、私の夢!叶え、みんなの夢!
気持ちを新たに円陣。
「結ヶ丘女子高等学校スクールアイドル、Liella!」
「これから、もっともっとたくさんの人に歌を届けよう!」
「Song for me, Song for you,」
「Song for All !!!!!」
季節は過ぎ、再び春が訪れ、屋上ではいつものように練習するみんなの声が響いています。冒頭のシーンと対になるこの構成も美しいですよね。
かのんちゃんは部室のホワイトボードに書き書き。
目指せ!ラブライブ!優勝!!
「よーし!いくよーっ!」
「おーっ!!!!!」
新しいラブライブ!の物語、その美しく力強い“プロローグ”。
Liella!の物語は、まだ始まったばかりです!
■まだ始まったばかりの私と私たちの物語
「ラブライブ!スーパースター!!」を語る言葉としてひとつ挙げるとしたら、やはり「始まり」でしょう。
新しく始まった学校を舞台に描かれる始まりの物語。そしてある種の“原点”を描いた物語でもあったと思います。
「学校でアイドル」ってどういうこと?「スクールアイドル」って何?「みんなで叶える物語」ってどういうこと?…これらのラブライブ!シリーズをラブライブ!たらしめている要素でありながら、意外と今まで「そういうもの」としてしか描かれてこなかった要素を、ラブライブ!スーパースター!!では真っ正面から描いていたように思います。その象徴的なエピソードが「学校でアイドル」の始まりを描いた8話や、今回の12話でした。
そして、ラブライブ!というのは廃校阻止の物語でもアイドルの物語でもない、「スクールアイドル」の物語なんだなと言うのを改めて感じさせてくれました。プロとかアマとかではなく、学校でアイドルということに意味がある。スクールアイドルだからこその想いとドラマがある。
最後、見ている私たちも悔しいという気持ちがこみ上げてきたはずです。
私たちはいち視聴者でありつつも、Liella!のファンであり、そして結女の生徒なのです(女子校だから男子は気持ちだけでも乙女の心でw)。
改めてになりますが、「ラブライブ!」は「私たち」「みんな」の物語です。そして「ラブライブ!スーパースター!!」はそんな「私たち」の中の「私の」物語であり、私を叶える物語です。
ラブライブ!はラブライブ!の物語ではないからこそラブライブ!に出場し、そしてその頂点を目指すのです。
それぞれに私を叶え新たなスタートを切ったLiella!の5人。まだまだ叶えたい私を、みんなとの夢を胸に、ラブライブ!の頂点を目指すスクールアイドルの物語、みんなで叶える物語が始まる。そんな予感を感じさせてくれる最終話でした。
最後に、去年の暮れにラブライブ!スーパースター!!の2020年の展開を振り返ったときにこんなことを書きました。
まさに期待通り、いえ、期待以上の素晴らしい始まりを見せて頂きました。
これぞラブライブ!という魅力や楽しさがギュッと詰まっていましたし、それでいて新しいラブライブ!の姿や、ラブライブ!の根源的な部分を再発見することができたシリーズだったと思います。
素晴らしい作品をありがとうございます!
まだまだ語り足りない12話追加の感想見所チェックはこちら。
さて、東京地区大会に向けて練習に励むみんな。いつにも増してコーチに気合いが入る千砂都ちゃん。そしてヘトヘトになりながらもだいぶいい感じになってきたからこの調子でもうワンセットとこちらも気合い入りまくりのかのんちゃん。
「頑張った分だけできるようになっていくのって、楽しいなって思って」と、今の充実した気持ちを語ります。
そんなかのんちゃんを見て「以前より大分変わりましたね。前向きになったというか」と語る恋ちゃんに、「これがかのんちゃん。私が知ってる」と千砂都ちゃん。
あまり無茶しすぎると某グループのリーダーの様にならないかと若干心配になるのですが(笑)、どうやら心配無用のようです。
とそこへ、恋ちゃんに理事長先生からお呼び出しが。
「恋ちゃん、またパソコンで見ちゃいけないものを…」見てしまったわけではなく(見てしまったのかもしれませんがw)、入学希望者が大幅に増えたとの知らせ。しかも、恋ちゃんのお父さんから必要なお金を学校に寄付したいという申し出まで。
恋ちゃんのお父さん、学校に対してしっかりとした援助を行うためにも海外での仕事を中途半端にはできなかった、ということだったのかもしれませんね。恋ちゃんの嬉しそうな表情も印象的でした。
というわけで、学校は生徒数の面でも資金繰りの面でも当面は安泰のようです。
Liella!のライブをきっかけにかなりの人が興味を持ってくれたのも確かなようで、頑張った甲斐がありましたね。
■自分たちのステージ
さて、気になる東京大会の詳細が今夜発表と言うことで、放課後は可可ちゃんの家に集合(さすがにもう段ボールの山は片付いていましたw)。
開催日は12月25日のクリスマス。しかも今回はリモートで各学校ゆかりの場所からの生中継という方式。
リモートライブというのが今のご時世を反映しているなぁとも思ったところですが、そこをうまく利用して、自分たちでどこをステージにしてどう見せるか、自分たちの魅力を最大化できる場所選びという要素をプラスしてくるのが面白い。
どの学校も自分たちの魅力を最大限に表現できるとっておきの場所を用意してくるはず。サニパはもちろん神津島でしょうから、あの美しい景色は大きな武器ですよね。
帰宅したかのんちゃんは家族のサプライズで地区予選突破のお祝い。相変わらずお父さんは背中で語るのみなのはシリーズのお約束w
中学校でも話題になってるらしく、着実に地元で有名なスクールアイドルになりつつあるようですね。
翌日、東京大会がリモートライブであることをナナミちゃん達に伝えると、ステージをどこに作るか興味津々。「いま現実的なのは体育館かなぁって…」と率直な考えを伝えるかのんちゃんでしたが、みんなからは東京大会で決勝進出がかかってるのに体育館とか欲がなさ過ぎると冷ややかな反応w
まぁ、体育館もそれはそれで学校のアイドルらしくて悪くはないと思うんですけど、どの学校もだいたい同じだから代わり映えしないというのも確かですねw
さてどうしたものか。
「みんな冬休みだし、外だといろいろ大変かなと思って」と気を遣うかのんちゃんに、すみれちゃんは気を遣いすぎ、もはやLiella!はこの学校の代表なのだからと言います。
「私は…本当は、歌えるだけで…」とポツリとつぶやくかのんちゃん。
そうですね、また歌えるようになった場所として続けてきたのが、気がつけばなんだか大袈裟ななことになってきてますからね。
そこへフラフラになった可可ちゃんがやってきます。なんでも片っ端からライブ施設を当たってきたものの、スクールアイドルには不向きだろうということで結局ダメだったとのこと。まぁ確かにライブハウスとかで普通にやっても…という気もします。
■勝つことの意味
とはいえ、なんだかんだでそろそろ決めないといけません。
ひとまず「家に帰って一晩考えてみるよ」と帰宅してみれば…。
なんとサニパのふたりが来ていました。…っていうか、夏服!?w
東京大会に向けた買い出しに来たというふたり。
「お互い正々堂々、最高のステージにしよう」「でも、勝のは私たちだよ」という言葉に勢いで「私たちも負けません!」とは言ったものの、いろいろ思い悩むところもある様子のかのんちゃん。
というわけで、5話以来再びのサニパ相談室です。
歌で勝ったり負けたりということがいまひとつしっくりこないかのんちゃん。かといって負けても平気という訳でもないし、もちろんいい歌を歌いたいし最高のライブを披露したい。
「でも私、ずっと歌えないかもって不安があったから、自由に表現できるだけでもう、本当はそれだけで幸せで…」
そうなんですよね。歌が大好きなのに思うように人前で歌えなくなって、でもそれが再び歌えるようになって、今はその喜びである意味満ち足りているというのもあるでしょう。
確かにそれもそうで、摩央さんも「君の言うことはわかるよ。歌は競うものじゃ無いかもしれない。自分一人でも楽しめるしね」とそこは同意です。
一方で、よりよい歌を歌う、という意味では、競い合い高め合っていくこともまた有意なことではあります。そして劇中でも度々言及されているように、それによってスクールアイドルのレベルは高まっている。
「納得いかない?」
「いえ、まだそこまで気持ちが…」と言うかのんちゃんに、摩央さんが一言。
「大丈夫、ラブライブ!で歌えば、すぐ気付くはずよ。なぜみんな勝ちたいか。…いや、勝たなきゃって思うのか」
まぁ、こういうのは体験してみるのが一番です。
「なぜ勝ちたいか…」
その意味を考えながら家路につくかのんちゃん。途中、表参道のケヤキ並木のイルミネーションが点灯される光景を目の当たりにします。
そしてそんなかのんちゃんをこっそり見てるナナミちゃん、ヤエちゃん、ココノちゃんの3人。いよいよ通称「神モブ」の本領発揮でしょうか。
イルミネーションの光景にステージのヒントを得たかのんちゃん。
「今回のテーマは星!…でどうかな?」
満天の星を体育館いっぱいに作り出そうというアイディアにみんなも賛成。ならば早速準備に取りかからないと、というところで…。
「そこまでっ!」とナナミちゃん達が登場。
かのんちゃん達は練習に集中して、ステージの準備は私たちに任せて欲しいと申し出てくれます。
新設校で1年生しか居ない結女は、どの部活も大会に出てもすぐに負けてしまう。そんな中でここまで頑張っているかのんちゃん達は学校の希望でもあるから応援させて欲しい、と。ありがたい申し出です(このとき既に体育館ではなく表参道の並木道そのものをステージにするつもりだったのでしょう。そしてサプライズにするためにかのんちゃん達を準備から遠ざけた)。
「イイハナシデス!イイヒトたちデス!」と感動の涙な可可ちゃん。
「なに泣いてんのよ」と言うすみれちゃんの目にも涙。
「お前が言うなデス!」とか言うおまえが言うなですw
まったくこの二人はw
というわけで、お言葉に甘えてかのんちゃん達はランニングへ。
「ちーちゃん。私、この学校で良かった。こんなに心がワクワクする毎日になるなんて、思ってもいなかった」と喜びを口にするかのんちゃん。
かのんちゃんだけじゃない。みんなも同じです。
可可ちゃんは憧れのスクールアイドルを始めるためにやって来て、スバラシイコエノヒトにも巡り会えてこうして活動できている。サニパにも会えた。千砂都ちゃんは幼い日の誓いを実現できている。すみれちゃんは華やかなステージでスポットを浴びて、センターにもなった。恋ちゃんはまさにこんなにも楽しい学校生活が、そしてお母さんが体験したスクールアイドルの楽しさを実感できる日々が待っているとは思ってもいなかったでしょう。
素晴らしい巡り合わせと奇跡です。
■それぞれの朝
本番当日。朝早くに目が覚めるかのんちゃん。本番は夜なので二度寝…せずに起きます。思い切って窓を開けると、外は小雪が舞っています。
一方、神社の境内に積もった雪を払っているすみれちゃん。ブツブツ文句を言う姉を叱る妹ちゃんしっかりしてるw
そこへ可可ちゃんが駆け込んできます。
「これを1日だけ預かってくだサイ」と、いつも部屋に飾って大事にしているサニパの額入りポスターを持ってきたようで、「あんたの宝物じゃないの?」とすみれちゃんが聞くと…。
「今日だけはライバルデス。…今日だけは、ファンをやめマス!」
いやぁもうさすが名言メーカー可可ちゃん。これまで度々サニパの熱烈なファンとしての姿を描いてきたからこそ、この発言と行動に可可ちゃんの本気とLiella!への想いが伝わってきます。
そんな可可ちゃんに神社のお守りを渡すすみれちゃん。
「一応渡しておくわよ、これからも一緒に続けられるように」
まったくこの二人はw
代々木公園では千砂都ちゃんがトレーニング。足下には大きな5つの丸が描かれています。「大きなまるになったねぇ」と感慨深い。
恋ちゃんはお手伝いさんのサヤさんと朝のティータイム。またお手伝いさんとの日々が戻ってきたようで、良かったですね。
かのんちゃんは1話の時とは真逆な登校風景。もうヘッドフォンも必要ありません(でも高そうなヘッドフォンなので普通に音楽を聴くのにはちゃんと使ってあげてくださいw)。
そんな朝のひとときを経て、学校に集まったみんなは夜の本番に向けて最後の練習。
で、気になるのはステージの様子です。
「驚かせたいから夜まで待ってって。できたら呼びに行くからって」
と言われているものの、やはり気になります。
雪も降っていることだし、練習はほどほどで切り上げて手伝いに行くことにしたのですが…。
体育館はまさかのもぬけの殻。
「ステージがぬわぁいいいい~!」
まさかの仕打ちと絶望しているところへ、「かのんちゃん!」とヤエちゃんが駆けつけてきます。が、「あんまりなんじゃない!」と久々のやさぐれかのんちゃん…というか、マジギレかのんちゃんw
「違うの!すごくいいステージができそうだよ!ここよりもっと素敵な場所!」
と言われて行ってみると、なんと結女のみんながキャンドルで光の道を作ってくれていました。
■光の道
「…これって…」
「この道を進めば」「かのんちゃんのステージが待ってる」「結ヶ丘のみんなで用意した、最高のステージが」
これは感動のサプライズです。
「がんばれ!Liella!」
結女のみんなの声援を受けて走り出すLiella!
いにしえのファンとしては、あの名作エピソード、ラブライブ!2期9話「心のメロディ」を彷彿とさせる展開に思わず涙ですよ。
結女のみんなが作ってくれた光の道を駆けていったその先に待っていたのは、表参道の光の並木道に設けられた見事なステージ。
「学校のみんなで、町の人に頼み込んだの。そしたら、この時間だけ自由に使ってもいいって」
「ここで歌えるの?」と驚きを隠せません。
「うん!町の人も協力してくれたんだ!」
学校のみんなも凄いけれど、ここまで協力してくれる町の人達も凄い。
なんだかんだで小学校や中学校で話題になっていたようですし、古くから住んでいる方達には神宮音楽学校時代の学校アイドルの子達の活動も思い起こされたのかもしれませんね。この地に根付いた想いが結ばれたステージ。そう考えるとまさに「私たちだからできる、私たちにしかできないステージ!」です。
「さあ!見せて!Liella!5人の、最高のライブを」
■始まりの星の輝き
「みなさん初めまして!私たちは、結ヶ丘女子高等学校スクールアイドル」
「Liella!です!」
「このステージに立って、この景色を見て、私は胸を張って言えます!」
「結ヶ丘の生徒になって良かったって、この学校が一番だって!」
「私たちの歌を…聴いてください!」
新曲「Starlight Prologue」
もう素晴らしいの一言でしたね…。
キラキラと美しい満天の星空のようなステージ、Liella!ならではの光の五線譜の様な装飾や、パート分けに合わせて流れてくる光の演出は奥行き感も感じられて素敵でした。カメラワークや構成も見事で、やはり京極監督のライブシーンは最高にラブライブ!です。
衣装もとても可愛かった。デザインされた如月さんによると「冬の星空の妖精」のイメージなのだとか。単にメンバカラーというだけではなく、マントが他のメンバーの色とグラデーションになっているのも素敵ですよね。結ぶ、繋がる、というエッセンスもLiella!の特徴かもしれませんね。
5人で言葉をつないでいくような歌もLiella!ならではの魅力ですし、課題である独唱パートもスバラシイウタゴエでした。
そして緊張の結果発表。
5位、4位、3位、まだLiella!の名前は出てきません。2位は…
Liella!
…惜しくも東京地区予選2位敗退。
1位はSunny Passion。
残念ながらLiella!の決勝進出はならず。あっけない幕切れです。
「ダメだった、ごめん…」と謝るかのんちゃんに、「ううん、ありがとう、最高のステージだったよ」「私、凄く誇らしくて感動した」「ごめんね、勝たせてあげられなくて…」と声をかけてくれるみんな。ステージに使える時間も限られています。後片付けもしないと。
「…そっか、こういうことなんだ」
摩央さんの言葉の意味を理解したかのんちゃん。
そして芽生える気持ち。
「ちーちゃん…わたし、くやしい」
「みんなが協力してくれたのに、なにも返せずおしまいになっちゃった…!」
だから…
「勝ちたい…。私、勝ちたい!」
「勝って、ここにいるみんなを笑顔にしたい!」
歌でみんなを笑顔にしたい。それはかのんちゃんの叶えたい夢でした。それがまだ叶っていない。
「やったって、みんなで喜びたい!」
「私たちの歌で、Liella!の歌で、結ヶ丘の歌で優勝したい!」
「…いや…優勝しよう!」
もちろんみんなも同じ気持ちです。
「当たり前でしょ…!」
「Liella!はこんなところで終わりマセン!」
「私は最初からそのつもり」
「結ヶ丘は一番の学校です…」
まだ叶えていない夢があります。叶えたい夢があります。
叶え、私の夢!叶え、みんなの夢!
気持ちを新たに円陣。
「結ヶ丘女子高等学校スクールアイドル、Liella!」
「これから、もっともっとたくさんの人に歌を届けよう!」
「Song for me, Song for you,」
「Song for All !!!!!」
季節は過ぎ、再び春が訪れ、屋上ではいつものように練習するみんなの声が響いています。冒頭のシーンと対になるこの構成も美しいですよね。
かのんちゃんは部室のホワイトボードに書き書き。
目指せ!ラブライブ!優勝!!
「よーし!いくよーっ!」
「おーっ!!!!!」
新しいラブライブ!の物語、その美しく力強い“プロローグ”。
Liella!の物語は、まだ始まったばかりです!
■まだ始まったばかりの私と私たちの物語
「ラブライブ!スーパースター!!」を語る言葉としてひとつ挙げるとしたら、やはり「始まり」でしょう。
新しく始まった学校を舞台に描かれる始まりの物語。そしてある種の“原点”を描いた物語でもあったと思います。
「学校でアイドル」ってどういうこと?「スクールアイドル」って何?「みんなで叶える物語」ってどういうこと?…これらのラブライブ!シリーズをラブライブ!たらしめている要素でありながら、意外と今まで「そういうもの」としてしか描かれてこなかった要素を、ラブライブ!スーパースター!!では真っ正面から描いていたように思います。その象徴的なエピソードが「学校でアイドル」の始まりを描いた8話や、今回の12話でした。
そして、ラブライブ!というのは廃校阻止の物語でもアイドルの物語でもない、「スクールアイドル」の物語なんだなと言うのを改めて感じさせてくれました。プロとかアマとかではなく、学校でアイドルということに意味がある。スクールアイドルだからこその想いとドラマがある。
最後、見ている私たちも悔しいという気持ちがこみ上げてきたはずです。
私たちはいち視聴者でありつつも、Liella!のファンであり、そして結女の生徒なのです(女子校だから男子は気持ちだけでも乙女の心でw)。
改めてになりますが、「ラブライブ!」は「私たち」「みんな」の物語です。そして「ラブライブ!スーパースター!!」はそんな「私たち」の中の「私の」物語であり、私を叶える物語です。
ラブライブ!はラブライブ!の物語ではないからこそラブライブ!に出場し、そしてその頂点を目指すのです。
それぞれに私を叶え新たなスタートを切ったLiella!の5人。まだまだ叶えたい私を、みんなとの夢を胸に、ラブライブ!の頂点を目指すスクールアイドルの物語、みんなで叶える物語が始まる。そんな予感を感じさせてくれる最終話でした。
最後に、去年の暮れにラブライブ!スーパースター!!の2020年の展開を振り返ったときにこんなことを書きました。
いわゆるオリジナルメンバー再集結というのは注目のニュースでした。μ’sの後を継いで、酒井監督とカトタツの音楽でラブライブ!の基本スタイルの継承と新たな発展を遂げたAqours。μ’sのスタイルはAqoursが継いでくれているからこそ、今度はオリジナルメンバーによって新たな原点が生み出されるんだろうなととワクワクしています。
まさに期待通り、いえ、期待以上の素晴らしい始まりを見せて頂きました。
これぞラブライブ!という魅力や楽しさがギュッと詰まっていましたし、それでいて新しいラブライブ!の姿や、ラブライブ!の根源的な部分を再発見することができたシリーズだったと思います。
素晴らしい作品をありがとうございます!
まだまだ語り足りない12話追加の感想見所チェックはこちら。