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TVアニメ「ラブライブ!スーパースター!!」第11話感想 [アニメ]

#11「もう一度、あの場所で」
#11「もう一度、あの場所で」
 11話はラブライブ!スーパースター!! の、ラブライブ!の神髄が詰まったエピソードでした。
 脚本も演出も隅から隅まで完璧で美しく、特に後半、クライマックスの一連のシーンは本当に素晴らしかったですね。何度見てもその見事な完成度には惚れ惚れします。

 さて、まずは地区予選の結果発表。
 通過は8組。まずはSunny Passion。ですよねー。続いてネオミュータントガールズ。どこかで聞いたことのあるネーミングです(笑)。
 なかなかLiella!の名前が出てきません。最後のひと枠…というところでアクセス集中のためか表示が固まってしまいますが、ここでサニパの二人からのおめでとうメッセージ。ということは…
 無事予選通過!

 クラスメイトからも祝福。「すみれちゃんすっごい格好良かったよ!」の言葉に照れつつもどや顔なすみれちゃんかわいい。
 とここで理事長先生から呼び出し。何の用事だろうと不思議に思っていると、どうやら心当たりがありそうな恋ちゃん。
 聞けばたまたま部室でパソコンの画面に映っていた“禁断の扉”なサイトを興味本位で見てしまったらしく、生徒会長としてあるまじき行為と懺悔する恋ちゃん。
 恋ちゃん禁断の扉を開いてしまいましたか…。薄い本で散財しすぎないように気をつけてね…。

 もちろん呼び出しの理由はそんなことではあろう筈もなく、かのんちゃんと千砂都ちゃんの母校の小学校からLiella!のみんなに歌って欲しいという依頼が来たからだとか。なんでも、卒業生が始めたスクールアイドルの歌を生徒に聴かせたいのだそう。 
 恋ちゃんは「そういうことでしたか~」とホッと無でをなで下ろし、可可ちゃんは「スバラシイ事デス!」と賛成。
 「じゃ、OKということでいい?」という理事長先生の確認に「えっ」と一瞬戸惑うかのんちゃん。そんな些細な変化を見逃さない千砂都ちゃん。そう、小学校のステージといえば“あの出来事”が頭をよぎりますよね。

■あの場所の記憶
 練習中、小学生の頃のあの出来事のことを思い出すかのんちゃん。
 合唱コンクールの本番。不安そうなみんなに「歌は怖くない、楽しいことだよ」「皆が頑張って練習してこれたのは、歌うことが楽しかったからでしょ」と明るく声をかけていた幼い日のかのんちゃんでしたが、いざステージに向かおうとしたところで…。そしてあの出来事が。

 かのんちゃんがそのことを気にしている様子なのをを察した千砂都ちゃんは、バイトで先に帰るのを口実にかのんちゃん以外の3人をこっそり呼び集めます。
 可可ちゃんは以前かのんちゃんから歌えなくなった時の話を聞いていたので、「小学校の時のことですよね」とわかっていたようですが、そういえばすみれちゃんと恋ちゃんは初耳ですよね。
 小学校のステージと言えば、かのんちゃんが人前で歌えなくなるきっかけになった最初の出来事です。だからまたぶり返してしまうのではないか、と心配している千砂都ちゃん。代々木スクールアイドルフェスでは可可ちゃんと一緒に歌えたしその後もちゃんと歌えているとはいえ、どうしても気になるようです。
 「では、一度下見に行ってはどうでしょうか。そこでかのんさんの反応を見るというのは」という恋ちゃんの提案で、一度小学校に下見に行ってみることに。

 小学校では懐かしの教室にワイワイしつつ、ふと見れば教室の後ろには「合唱コンクール めざせ!優勝!!」の文字。
 で、肝心の当日歌う講堂のステージへ。
 「ちょっとステージ上がってみる?」と千砂都ちゃんに促され、ステージ裏へ。本当にあの日と同じ場所なんですね。
 で、せっかくだから練習のつもりで少し歌ってみてよ、ということに。
 すーっと息を吸って…
 「…ごめん、ちょっと待って」
 やはりダメなのでしょうか。
 そんなかのんちゃんの様子に、サッと手を取る千砂都ちゃん。可可ちゃんも続き、みんなで手をつなぎます。
 みんなの気遣いに気持ちが楽になったのか、みんなと一緒に綺麗な歌声を響かせます。それにしても、Liella!はやっぱり歌声のハーモニーが綺麗ですよね。
 何はともあれ、これで一安心…なのでしょうか?

 後日、東京大会を勝ち抜くために気合いを入れて作ったというダンスの練習に励むみんな。そこへ可可ちゃんが東京大会の課題発表のニュースを知らせに来ます。
 この前の選抜に続いて今回も課題が出されるようで、東京大会の課題は「独唱」。歌を聴かせるソロパートが必須ということのようです。ということは…
 「じーーーーっ」
 「異論を唱える人はイマセンよ」
 なんといってもスバラシイコエノヒトですからね。
 というわけで、東京大会の課題の独唱担当はかのんちゃんに決定。次の挿入歌楽しみですね。

■もう一度、考える
 放課後、千砂都ちゃんのバイト先のたこ焼き屋。
 「良かったデスね。かのんはちゃんと歌えマシたし、独唱なら歌唱力を一番活かせマスし」と一件落着な可可ちゃんに対し、まだどこか気になる様子の千砂都ちゃん。「やっぱりダメだよ!このままは良くないよ!」と意を決します。
 曰く、かのんちゃんが歌えているのは、あくまでみんなと一緒だからに過ぎない。
 「この前の小学校の時もそう。かのんちゃん、みんながいるから、ひとりじゃないって思えるから、歌えるんだと思う」
 でも、「それは良くないことなのですか?仲間が居るから歌えるって、素敵なことだと思いますけど」と言う可可ちゃん。そうですよね。たぶん視聴者もなんとなくそう思っていたでしょうし、みんなと一緒なら歌える、仲間って素晴らしい、めでたしめでたし、となるところだったかもしれません。
 ですが…
 「それって本当に歌えることになるのかな?ずっと、今みたいな不安は消えないんじゃないかな」
 …確かにそうですね…。

 翌日、理事長先生にもお願いして全員都合が悪くなったことにして、かのんちゃん一人で歌ってもらうことに。
 急は話に「ええっ!?ちょっと待ってちょっと待って、それじゃあもうLiella!じゃないよ…。一人しか居ないなんて…」と戸惑うかのんちゃん。
 「デスヨネ」ですよねw
 「だからね、小学校に連絡したんだけど、そしたら、かのんちゃん一人でもお願いできないかって…」とかのんちゃんを説得する千砂都ちゃん。その後の「むしろ学校の子達はかのんちゃんひとりの方が聴きたいって」というのはちょっと嘘っぽい感じがしなくもない。

 かくして半ば強引にかのんちゃん一人で歌うことになったのですが、なかなか心苦しい展開です。「やっぱりひどいです。可哀想ですこんなの」と言いたくなる気持ちもわかります。
 でも、それでも千砂都ちゃんには確信がある。幼馴染みだからこそ知っていることがある。
 「…私ね、私、小さい頃は何をしてもうまくできないって思ってた。自分は何をやってもダメで、すぐ諦めてた」
 幼い頃、そんな自分に勇気をくれたかのんちゃんの笑顔。
 「あの笑顔はね、元気になる笑顔。安心して勇気が出て、見ている人が心から嬉しくなる笑顔」「私の知ってるかのんちゃんは、そんな笑顔を持っていたんだ」
 だからそれを取り戻してあげたい。思い返せば、5話6話で見た幼い頃のイケメンでヒーローなかのんちゃんは今よりもっと溌剌としていた気がしますよね。
 「辛いことや上手くいかないことをいっぱい経験したかのんちゃんがあのときの気持ちを取り戻せたら、誰にも負けないって」
 そしたら…
 「ラブライブ!どころじゃない、飛び越えて世界一、いや、すみれちゃんが言うように、銀河一にだってなれる」
 「私は…嵐千砂都は信じてる。澁谷かのんを!」
 やだカッコイイ…。4人の中で誰よりもかのんちゃんを知っている幼馴染みだからこその説得力です。

 ぶっちゃけ、ラブライブ!のステージには5人で立つわけですから、独唱とはいえかのんちゃんが歌えなくなることは無いでしょう。
 でも、5人なら歌えるんだから別に良いじゃん、ではないんですよね。それは本当に歌えていることになるのか、それはかのんちゃんが持っている本来のポテンシャルなのかというと、それは違うと千砂都ちゃんは言っているわけです。
 そしてかのんちゃんがあの頃の様な笑顔と歌を取り戻せたら、それこそ全世界全銀河に届くくらい、“私が知ってる本当の澁谷かのん”は凄いんだぞと。
 幼なじみの千砂都ちゃんだからこそ知っているし断言できるんですよね。幼なじみという関係性が、そして5話や6話で描かれてきたことがしっかりと繋がっている。
#11「もう一度、あの場所で」
 一方かのんちゃんは、妹のありあちゃんに昔の自分のことを訊きます。妹のありあちゃんもまた“本当の澁谷かのん”を知るひとりです。
 曰く、「うーん、熱かったうるさかったウザかった。何かと言えばやればできるとかがんばれとか、熱血スポーツキャスターかっての」…だそうです。
 「でも、嫌じゃなかったよ」と。

■もう一度、あの時の先へ
 そんなこんなで、迎えた当日。
 結局気になってこっそり見に来ている4人。
 なんだかんだで不安そうな千砂都ちゃんですが、そんな千砂都ちゃんのスマホにかのんちゃんからの着信が。

 「…どうしたの?」とたずねる千砂都ちゃんに、ありがとうと伝えるかのんちゃん。「私、みんなが居たから歌えてた。それでいいと思ってた。でも、それじゃダメなんだよね。誰かを支えたり、力になるためには、ちーちゃんががんばったみたいに、一人でやり遂げなきゃダメなんだよね」
 かのんちゃんもかのんちゃんで、千砂都ちゃんの真意をちゃんとわかっていた。素敵な関係です。そして千砂都ちゃんにもわかっていることがあります。
 「うん。それにひとりじゃない。居るはずだよ、あの頃のかのんちゃんが。歌を全世界に響かせようとしていた、かのんちゃんが」
 あの頃のかのんちゃんは、まだ“そこ”に、かのんちゃんの中に居る。
 「私が…」

 ふと振り向けばそこにはあの頃の自分の姿。
 あの日、本番を前に不安になるみんなを励ます小学生のわたし。
 「大丈夫だよ、歌は怖くない。楽しいものだよ!歌うのはとっても楽しいものだよ!」「みんなが頑張って練習してこられたのは、歌うのが楽しかったからでしょ」
 「だから歌おう!楽しく!」
 その言葉と笑顔は、まるで今のかのんちゃんを勇気づけているかのようでもあります。
 そして、みんなステージに行き、一人残された幼いかのんちゃんは、ぽつりとつぶやきます。
 「…怖い。なんでだろう、怖いよ…」

 「そう、怖かったんだ。あの時も」

 あの時の私も怖かった。
 「それでも私は…」今もこうして歌が好きでいられている。歌えている。そしてこれからもっともっと楽しく歌える未来が待っている。
 だから…
 「だいじょうぶ。大好きなんでしょ、歌」その気持ちを大切にしていれば、だいじょうぶ。
 幼い頃の自分への語りかけは、すなわち自分自身に向けたものでもあります。
 優しく手を差し伸べ、にっこりと微笑みかけるかのんちゃん。
 みんなを元気にする、勇気をくれるあの笑顔。
 小さい頃のかのんちゃんの笑顔に今のかのんちゃんが勇気をもらい、今のかのんちゃんの笑顔があの時のかのんちゃんに勇気を与える。

 意を決しステージに向かった幼い日の自分を追いかけるようにステージへと向かい、一人ステージに立ち、そして、歌う。
#11「もう一度、あの場所で」
 曲は「私のSymphony」
 Liella!デビューシングルのカップリング曲ですが、とにかくもう歌詞がピッタリすぎて、このために作られた曲なのでは?と思えるほどでしたね。
 堂々と、そして楽しそうに歌うその姿に、千砂都ちゃんたち4人もただただ聴き入っている。これが本当の澁谷かのん。

 歌い終え、盛大な拍手。
 「かのんちゃん!」
 思わずステージに駆け出す千砂都ちゃん。
 その後を追ってみんなステージに駆け寄ります。
 「なんか、本当に勝てるような気がしてきました」
 「勝つわよ、ラブライブ!」
 「当たり前デスー!Liella!は最強なのですから」
 「みなさん初めまして、Liella!です」
 「私たちの歌、聴いてください!」


■私を叶える物語
 今回はラブライブ!スーパースター!!の根底にあるテーマ、「私を叶える物語」を改めて感じたお話でした。
 トラウマを克服すると言うより、文字通り向き合った今回のお話。自分自身と向き合うことで、私を叶える。自分自身にすら元気と勇気を与えるかのんちゃんの笑顔。そりゃ千砂都ちゃんも自信を持って絶賛しますよ。
 そしてまた、「手をつないでおけば怖くない」物語でもあるんですよね。
 それは他の誰かとだけではなく、自分自身とも。
 今の自分が小さかった頃の自分の怖い気持ちを理解し、小さかった頃の自分が今の自分の怖さを解きほぐしてくれる。過去と今と未来はつながっている。私とわたし。手をつないでおけば怖くない。

 それにしても、嵐千砂都とかいう幼馴染みは凄いですね(笑)
 嫉妬に妬かれることもなければ依存することもない。それどころかキミ達は知らないだろうけど私の知ってる澁谷かのんはこんなモンじゃないから、もっと凄いから、と言ってのける。そして、あの笑顔を取り戻すと信じている。
 だから、一人で歌うというお膳立てをしただけで、他は何もしていない。
 そして澁谷かのんもそれに応える。証明してみせる。みんなに勇気を与えてきたその笑顔で、自分自身すらも救ってみせる。
 いやはや凄い。

 みんなと一緒なら歌えるよかったね仲間って素晴らしいねで終わらせないで、いやちょっと待てよと、それでいいのかと。それはホンモノかと。私の知ってる澁谷かのんはこんなものじゃないぞと、真の強さを手に入れて、もう一段階パワーアップを遂げる。

 歌の楽しさ素晴らしさの再発見からの、勝てそうな気がしてきた、勝つぞ!というワクワク感もラブライブ!に出るから描ける部分でもありますし、ラブライブ!はラブライブ!の物語ではない(あえてこういう言い方をすれば“どうでもいい”)からこそラブライブ!に出て、勝ちを目指し、“ラブライブ!どころじゃない”高みを目指すのです。

 次回いよいよ最終回です。どんな結末を迎えるのか、本当に楽しみです!


 あれやこれやを追加で書いた11話見所チェックはこちら

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