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TVアニメ「ラブライブ!スーパースター!!」第6話見所チェック [アニメ]

 見逃したらアカンやつな第6話は、お話としても、演出でも見所盛りだくさんなエピソードでした。特に、幼い頃の回想と今の風景との対比や、時間や空間を軽やかに超えてみせるような表現の数々は、これぞまさにラブライブ!の醍醐味、という感じでしたね。
 (第6話の感想はこちら

■「前回の~」があるからこそ
 ラブライブ!ではお約束の「前回の~」ですが、だからこそ逆にそれが無いことで特別なエピソード感が出たりもするんですよね。

■大切なもの
 千砂都ちゃんの髪紐、5話の回想で出てきたときはかのんちゃんとの思い出の品だからなのかなと思ったのですが、それだけというわけではなく、かのんちゃんとの出会い以前から本当に大事そうにしていたので、本当に特別な意味や大切な思い出があるのでしょうね。いつかそれが明かされたりもするのでしょうか。

■得意なこと
 6話は自分や誰かの得意なことというのが重要なテーマとしてあって、千砂都ちゃんはダンス、かのんちゃんは歌が得意というのをお話の中心として描かれているわけですが、一見ただのコメディ要素な可可ちゃんとすみれちゃんも実は同じような構図になっていて、全体のテーマの補助線的な効果をもたらしているんですよね。
 可可ちゃんは故郷の料理でもてなしたいという想いがあるけれど、うまくできない。でも、すみれちゃんは料理がうまくできるから、代わりにやってあげる。可可ちゃんが料理で悔しいって思ったり、逆に、得意の物作りでステージを見事にデコレーションして物作りの腕ではすみれちゃんには負けないし力になれるということを示したり、それぞれに得意なことで補い合う。これって、千砂都ちゃんのダンスとかのんちゃんの歌の関係と似たような構図です。

 また、すみれちゃんの料理が得意は意外な要素として描かれつつも、なるほど料理番組とかで鍛えたのかなという想像もできる。一方の可可ちゃんの物作りのスキルは即席のプラカードやチラシ、2話のリヤカーや3話のパネルなどでちょいちょい垣間見えていて、こういうところのキャラ立てや布石の置き方が本当に上手い。

■意外とお茶目
 恋ちゃん意外とお茶目です。というかこっちの方がわりと素なんでしょうね。意外と好奇心旺盛なのかもしれません。

■自動販売機
 学校のレッスン室の廊下の奥に見えてる自動販売機、ドリンク投票の時に公開されたデザインでしたね。

■満月とメッセージ
 まるいもの、千砂都ちゃんが大好きなものです。だから、かのんちゃんは千砂都ちゃんが大好きそうだから見せてあげようと思うし、千砂都ちゃんは大好きなまるをかのんちゃんにも見て欲しいと思って、お互いにタイミング良く連絡し合う。そこから電話でちょっと話す、という流れに持って行く脚本構成が見事。
 そしてそんな以心伝心な遠距離コミュニケーションを描いてあるからこそ、ダンスの本番前では逆に既読にならないメッセージ、からの返信が来たかと思ったら本人登場の流れが際立つ。
 「ごめんね、気付かなくて」にも、メッセージに気付かなかったこと(たぶん全力で会場に向かっている最中だったのでしょう)、そしてそれ以前に千砂都ちゃんの不安に気付かなかったことの二重の意味合いがある。

■あの時と同じであの時と違う
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 ダンス大会の前日の(と思われる)夜。千砂都ちゃんとかのんちゃんが電話で語り合うシーンは、画面分割でまるで隣り合って話しているかのような演出が印象的でした。離れていてもすぐ近くに居るように通じ合っている。
 一方で、ふと現実に返ると千砂都ちゃんの隣には誰も居ない、というのも印象的に描かれている。
 幼い頃隣り合って話したブランコと同じ場所、同じ様な構図で描かれることで、でもあの時と違って今は隣に居ない、という現実が引き立つ。寂しさと、不安。

■手をつないでおけば怖くない
 幼い日の千砂都ちゃんとかのんちゃん。躊躇する千砂都ちゃんに手を差し出すかのんちゃん。手をつないでおけば怖くない。やはりラブライブ!スーパースター!!の大きなキーワードの一つですよね。

■時間と空間を超えたかのように駆けつけるかのんちゃん
 クライマックス、遠く離れた島にいるはずのかのんちゃんが、まるで突然現れたかのように描かれているのですが、どうやって駆けつけたのかとか、そんなことを事細かに描く必要は無い。
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 やっぱり不安で頼ってしまいそうになる気持ちの千砂都ちゃんの元に、遠く離れた島に居るはずの(来てくれるはずのない)かのんちゃんが、あの日約束してくれたように、あの日と同じように颯爽と駆けつけてくれる事に意味がある。だから“そういう風に見えるように”描いてある。
 かのんちゃんが都内に向かう描写とかをバッサリ省いているからこそ、そして簡単に来るわけ無いだろうと思っているところに颯爽とかのんちゃんが現れるからこそ、千砂都ちゃんも視聴者も心揺さぶられるし、まさかのチュエーションが活きるし、エモーショナルだし、お祭りの本番で4人揃っている展開だってグッとくるわけです。

■輝き出す世界
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 ダンス大会の本番直前、不安な千砂都ちゃんの心情を表すかのようにどんよりと曇った空で、周りの風景の彩度も抑えめです。それが駆けつけてくれたかのんちゃんとのやりとりを経て、互いの想いに気付いた瞬間から清々しく晴れ渡る。最初は窓枠がふたりの間に壁のようにあったのが、取り払われる。周りの景色も色鮮やかになる。世界が輝き出す。いいですねぇ。

■新曲
 千砂都ちゃんがダンス大会で使った曲と、かのんちゃんが島でのライブ用に作った曲は同じだったのかなと。なので千砂都ちゃんも歌だけ覚えてすぐに加われた、ダンスは3人から4人のフォーメーションに微調整した、みたいな。
 そもそもかのんちゃん達が神津島に行く前に曲もダンスもできていて、ダンスを考えたのは他ならぬ千砂都ちゃんです。踊れて当たり前。そして歌詞もちゃんと千砂都ちゃんに見てもらっているわけですからね(しかもこの時点で4人で歌うパート分けになっている)。神津島に向かう船で一緒に練習したんだろうなとか、いろんな話をしたんだろうなとか想像するのも楽しい。衣装も可可ちゃんの手にかかれば1着作るくらい余裕でしょうw

■絵コンテは…
 絵コンテを担当された誌村宏明さんは、「ラブライブ!」2期4話「宇宙No.1アイドル」でもコンテを担当された方ですね。


■ラブライブ!1期13話との比較
 まさか来るはずが無いと思った人が突然目の前に現れる、ある人物がまるで瞬間的に別の場所に移動したように見えるという展開はラブライブ!1期13話を思い出しますが、似ているようで違います。
 ラブライブ!1期13話はシーンの時系列を巧みに組み替えることであたかもそう見える様にしてあるのに対し、今回はそういったアクロバティックなつくりにはなっていません。(参考:ラブライブ!13話Bパートの時間軸を整理してみた

 シーンの順番は正しく時系列順であり、単に島から東京のダンス会場に向かうかのんちゃんの途中過程が意図的に描写されていないというだけです(可可ちゃんがステージのデコレーションを披露するシーンにかのんちゃんの姿がないことで、その時点で島に居ないことは匂わせてある)。
 というかそもそも、フィクションの世界なので現実と同じとは限らないわけですし、他に手段はいくらでもあるかもしれない。明らかに不可能な超常的なことを描いているわけでもありません。
 ちなみに、ラブライブ!1期13話と同様、あえてこじつければ一応現実的にも可能なスケジュールになっています。運航表によると8月23日~31日は毎日神津島発の高速船が運航されており、これに乗れば午後からというダンス大会にはおそらく間に合う。そして島のライブはダンス大会の翌日夕方なので5話と同じように夜行便に乗れば良い。

 今回のエピソードでの重要な仕掛けは、移動に時間がかかると思い込ませることと、かのんちゃんが東京に向かう様子を描かないこと。そして、メッセージのやりとりと、過去の回想シーンです。
 あらかじめ5話でわざわざ半日かけて夜行の船で渡っているところを描くことで、行き来に時間がかかる遠い場所という印象を持たせてある。だから、急に思い立って駆けつけようと思っても無理だろうと思い込む(でもかのちゃんはそれをやるんです!)。
 かのんちゃんがダンス会場に向かっている描写を描かないことで、今まさに駆けつけているとはわからない様になっている(実はステージ設営のシーンにかのんちゃんが島に居ないというヒントは描かれているが、そのことには全く触れない)。千砂都ちゃんと同じ視点、情報量になる。
 そして、遠隔地とのコミュニケーション手段としてのメッセージのやりとりを逆手に取った見せ方と、どこに居ても駆けつけるという過去の回想が布石になって、これらの相乗効果であのドラマチックな名場面が出来上がっているわけですね。

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