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「響け!ユーフォニアム」シリーズ雑感 [アニメ]

響け!ユーフォニアム
 「響け!ユーフォニアム」のTVシリーズ1期2期とそれぞれの総集編劇場版、そして「リズと青い鳥」「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」を全部観ました。
 というわけで、簡単に感想などでも。

■1期シリーズ&劇場版「北宇治高等学校吹奏楽部へようこそ」
 1期シリーズは吹奏楽のイロハや吹奏楽部の風習的な部分を程よく折り込みながら進んでいくので、観ているうちになんとなく吹奏楽のことがわかってくるし、吹奏楽部の風習ならではな面白さも見えてくるのが楽しい。

 どのエピソードも面白いのだけれど、特に8話を観てこのアニメすごいなと心底思った。8話までの展開と積み重ね、そして8話以降の切り替わりも見事。
 8話の見事な台詞回しと演技、そして巧みな構成と美しい映像はほんとうに神懸かっていた。ラブコメ回とみせかけてのラブな回。音楽も素晴らしく、クライマックスに向けての引き込まれるような時間はまさに夢を見ているようでしたね。
 響け!ユーフォニアム 第八回(バンダイチャンネル)

 とにかく『意識の萌芽』と名付けられた劇伴が素晴らしすぎる。静かに、美しく、幻想的な名場面を彩った、そして強烈な印象を与えた珠玉の一曲。



 「響け!ユーフォニアム」1期シリーズ全体を通してポイントだなと感じたのは、スピード感と緊張感のあるアバンタイトル(前話振り返り)、そして久美子のモノローグと「次の曲が始まるのです」の締め、このフォーマットがTVシリーズのキモ。だからこそ8話はターニングポイントとして際立ったし、最終話のラストは完璧だった。
 最終話、本番前のドキドキ、そして本番の演奏を固唾をのんで聴くひととき。これまでのドラマや積み重ねが一つの形になっていく嬉しさ。そして1話冒頭と対になるラストシーン。完璧。

 個人的にも、王様のレストランの「それはまた別のお話」や、古畑任三郎のアバンや解決パートの前説、甘城ブリリアントパークの入場者数カウント、BTTFの「To be continued」、シティーハンターの止めて引いてEDなど、こういった手法は作品の個性やカタルシスを生み出す要素でもあって好きなんですよね。

 なお、Blu-rayシリーズ7巻またはBD-BOXにはTV未放送のスペシャルエピソードが収録されており、コンサートメンバーに選ばれなかった「もなか」達の視点であの日のもうひとつの物語を知ることができ、本編を補完する上でとても意味のあるエピソードなので、ぜひBlu-rayを買って見ることをオススメしたい。

■2期シリーズ&劇場版「届けたいメロディー」
 2期シリーズでは、1期で本来の実力を身につけた北宇治吹奏楽部が様々な想いや葛藤(高校生の部活ならでは(?w)のめんどくさい人間関係や家庭事情)を経てめざめていくことで、その音を心から響かせ、全国に挑んでいく。とても面白かった。更なるポテンシャルを引き出していく過程がとても納得感のある形で描かれており、だからこそ“強くなっている”ことが実感できた。
 そしてその一つの成果が示される2期5話のおよそ7分間に及ぶ渾身の演奏シーンには引き込まれた。視聴者自身も、これまでに幾度となく聞いて、見守ってきた曲だ。祈る思いの仲間達、舞台裏、去来する思い出。それらが見事な構成で描かれる。
 響け!ユーフォニアム2 第5話(バンダイチャンネル)

 シリーズ終盤の10話、11話、これまで描かれてきたことが、積み重ねてきたことが、一見別々に思えていた出来事や関係性が、鍵になり、ひとつのこたえに帰結するさまも素晴らしく、これぞ群像劇の醍醐味。良くできた面白い群像劇は“いつの間にか”が面白くて、いつの間にかそれぞれの登場人物のことをよく知ってるし、いつの間にか集団としてのキャラクターが出来上がっている。そして終わる頃にはみんな大好きになっている。点と点が線で複雑に繋がっていく様が楽しい。

 最終話13話では、5話とは異なり演奏シーンは大胆に省略されている。その代わり、やりきった、出し切った、という感じの部員達の様子が描かれ、とても清々しい気持ちになれる。
 1話のアバンタイトルに繋がるクライマックスシーンと最後に明かされる“大仕掛け”も素晴らしかった。

 あと、劇場版では駅ビルコンサートがロングバージョンで描かれていて、楽しそうに演奏している姿が見ていて嬉しい気持ちになれて好き。

■劇場版「リズと青い鳥」

 この映画のキーワードは素数。「互いに素(disjoint)」。近くて遠いふたりのお話。多くを語らず、大仰であからさまな演技や演出はせず、しかし心の機微が繊細に感じられる良い映画でした。あと、剣崎梨々花がとてもいい子だった。
 物語はリズと青い鳥の劇中劇が並行して進んでいくのだけれど、どちらがリズでどちらが青い鳥なのか。ぼんやりと当てはめて観るようになっていく。そしてある瞬間を境に、気付き、全てが腑に落ち、そしてめざめる。素晴らしい。“映画”を観たという充実感が味わえてとても良かった。
 とにかくその繊細な描写と雰囲気に惚れ惚れする映画。
 それはそうと、狙ってそうしているのかどうかは定かでは無いけれど、劇中劇パートの妙にジブリっぽい感じはどうしても気になってしまった(笑)

 アニメシリーズ5周年を記念して台本付き限定版Blu-rayとパンフレットが京アニショップ!きゃにめで受注限定生産で復刻販売されるそうなので、このまたとないチャンスにぜひ。
 「リズと青い鳥」復刻版 Blu-ray&映画公式パンフレット 受注生産決定!(響け!ユーフォニアム 公式サイト)

映画『リズと青い鳥』オリジナルサウンドトラック「girls,dance,staircase」

映画『リズと青い鳥』オリジナルサウンドトラック「girls,dance,staircase」

  • アーティスト: 牛尾憲輔
  • 出版社/メーカー: ランティス
  • 発売日: 2018/04/25
  • メディア: CD


■劇場版「響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」

 「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ」は、TVシリーズ総集編劇場版と同様に1年間のお話を圧縮しているものの、それほど駆け足感もなく、立場や環境が変わることによる見え方の変化や新たな人間関係のドラマが面白く、今回も演奏シーンはとても見応えがあって素晴らしかった。曲のクライマックスが最高に格好いい。
 小悪魔的な久石奏のミステリアスさと可愛らしさも魅力。
 物語の後半では、それぞれの決断、めざめた瞬間、なにかが変わった瞬間というのがハッキリとした納得感を伴って感じられて、気持ちが晴れ渡るような感覚がある。そしてそれらがクライマックスへの高揚感に、結末に感じるある種の力強い清々しさに、そして“あの言葉”へと繋がっていく。見事な構成。あと、エンドロールの主題歌が良い。

劇場版 響け! ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』 オリジナルサウンドトラック The Endless Melody

劇場版 響け! ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』 オリジナルサウンドトラック The Endless Melody

  • アーティスト: 松田彬人
  • 出版社/メーカー: ランティス
  • 発売日: 2019/05/22
  • メディア: CD


 それぞれが独立した映画として楽しめるものではありますが、「リズと青い鳥」とはぜひともセットで観ておいて損はない。個人的には「リズと青い鳥」を先に観ておいた方がより補完的な感動があるのではなかと思います。

 また、進級していくことによる環境の変化やそこから生まれるドラマというのは、「たまゆら」でもそうだったけど、独特の面白さがあります。同じようなエピソードが2年目、3年目で違って見えてきたりもする。そういった点でも、やはりTVシリーズを一通り見たうえで観た方がより楽しめるのは間違いないでしょう。
 ■過去記事:「たまゆら」を改めてシリーズ通して鑑賞したので。

 全体を通して、「響け!ユーフォニアム」という作品のキーワードはやはり“悔しい”ですね。悔しいという気持ちを真っ正面から描いた作品だなと。

 そしてシリーズ完結編となる「久美子3年生編」。いつか必ず届けてくださると信じて、しっかりとその日を待ちたいと思います。




「響け! ユーフォニアム」Blu-ray BOX

「響け! ユーフォニアム」Blu-ray BOX

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2019/03/20
  • メディア: Blu-ray



「響け! ユーフォニアム2」Blu-ray BOX

「響け! ユーフォニアム2」Blu-ray BOX

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2019/04/03
  • メディア: Blu-ray



リズと青い鳥[Blu-ray]

リズと青い鳥[Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2018/12/05
  • メディア: Blu-ray



劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~ [コンテ集付数量限定版 Blu-ray]

劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~ [コンテ集付数量限定版 Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2020/02/26
  • メディア: Blu-ray


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