SSブログ

Aqours 5thライブの“虹”成功の要因について考えてみた。 [雑記]

Aqours 5th LoveLive! ~Next SPARKLING!!~
 先日行われたAqours 5thライブのアンコールで、観客の持つペンライトの光でメットライフドームに巨大な虹が架かりました。それは本当に美しく、奇跡的な光景でした。
 まさに奇跡!…なので、ちょっと野暮かなと思いつつも(笑)、今回虹が実現した要因をすこし紐解いてみようかなと。

 ざっくりと要点を挙げると…

・特定の曲のタイミングで何かをするのではなく、アンコールに入ったら虹にすればいいというのが単純明快だった。ぶっつけ本番の以心伝心ではそれ以上は無理。
・周知が功を奏したのか、ある程度虹ができはじめていたのが呼び水となった。
・広まっていくだけの時間的猶予がたっぷりあった。
・丘陵地を掘り下げたすり鉢というメットライフドームの特殊な構造。スタンド席が複数階層に分かれておらずどの席からも全体像が見渡せ、ゲートも無いので地続きで連帯感がある。伝播もしやすい。
・虹というのが今回のライブの象徴的なモチーフとして多く用いられ、ライブのコンセプトとも合致していた。
・これまでの企画の経験と積み重ねが今度こそはと結実した。
・少なくともNext SPARKLING!!が来ることはわかっていた。
・この景色をなんとしても見せたいという“10人目”の強い意志。
・アサミさんの「レンボー作って」である種の魔法がかかっていた。

 …このあたりが成功に導いたといったところではないでしょうか。

 そもそものことの始まりは海外公演でいわゆる「ヨーソロード」「カナンレール」などが実現し、L.A.公演では客席に見事な虹ができたことでした。国内でも度々試みられながらもさすがにナンバリングライブではなかなかうまくいってこなかった、という経緯があります。だから、今度こそは、という思いもあったでしょう。
 とはいえ、まず海外公演はそもそも実施される機会が限られます。Aqoursにとっても、参加者にとっても貴重な機会でしょう。だから、何かサプライズをしたいと考えたときに多くの参加者の賛同と協力を得られる可能性は高い。
 また、会場の規模が比較的中規模だったというのも、企画が周知される割合が高まり、結果として一定の成功につながっていたと思います。

 一方で日本国内の場合は幸運にも割と頻繁に参加の機会はあるうえに、これまた嬉しいことに比較的会場が大規模です。しかしこれが皮肉にも企画の成功を困難にしてきた側面はあるでしょう。大規模であるほど周知は難しく限界もあります。キャパに対して周知可能な割合は自ずと低くなり、基本的に数万人規模が事前の打ち合わせも予備知識も無く以心伝心とアドリブで何かを成功させるのは(日本人の国民性だからとかそういうこと抜きでそもそも)極めて難しい。あまりにも毎回乱立する(しかもかなり無茶ぶりな)半ば自己満足的なペンライト企画ブームともいえる状況に辟易していた人も多いはず。

 今回も虹を作ろう的な企画はあったらしく、チラシなども作られていたようです。発起人達は当日声を上げて説明もして回ったらしいのですが、しかしながら自分はその存在すら知りませんでしたし、隣の人なども同様でした。このように、現実としていくらがんばって周知を試みたところで、残念ながらドームライブ規模の参加者全員に伝達することは現実問題としてまず不可能に近い(しかし今回、それが決して無駄では無かったのも事実です)。
 周知に自ずと限界があるならば、後は観客同士での伝達と以心伝心に頼るしかありません。今回はそれらも上手くいった。

 また、今回の企画は過去の事例と異なり「特定の楽曲で」「特定のタイミングで(色替えなど)何かをする」というものではなく、「アンコールに入ったら虹色をつくる」、という比較的単純明快なものだったということも決め手の一つだったと思います。
 これまでの海外での成功事例が「特定の曲で虹にした」「特定の曲の特定の演出を再現した」といった内容だったため、過去の企画ではその再現という点に縛られすぎていたのではないでしょうか。大規模な会場でやるには要求が難しすぎた。
 特定の曲だといつ来るかわからないし、曲が来てから客席の変化を見て合わせる余裕などありません。そもそも歌唱中に客席の様子などみんな見ていない(ましてや微々たる変化では誰も気付かない。更に言えばアリーナ席に関しては周りのペンライトの細かい揃い具合なんて俯瞰して見られないのでそもそもわかりません)。そこに加えて特定のタイミングで何かをするのは更に難しい。これを実現させるには参加者のかなりの割合に事前に企画内容が浸透している必要がありますが、先に述べたように会場の規模が大きくなるほど飛躍的に難易度は高まります。だから誰しも「まぁ無理だろう」と思っていたのではないでしょうか。常識的に考えて普通はそうです(あとそもそも誰かが発案したマスゲームをやるためにライブに行ってるわけじゃ無いんだよ、という反発も少なからずあったでしょうし、基本的にはペンライトの色をどうするかは自由です)。

 事前の情報や企画の内容を知らない大多数の観客に瞬間的な判断と複数の段取りを要求するのは不可能に近い。ましてや以心伝心では伝えようがありません。
 虹を作るだけにしても、特定の曲でやるのかアンコール中にやるのかでだいぶ難易度が違ってきます。
 アンコールに入ったら虹をつくるというのであれば、まず時間的猶予がたっぷりあります。また、観客が比較的じっくりと客席の様子を見ている時間帯でもあります。その間にどうにか広まって賛同が得られていけば実現できる可能性はある。そして虹さえ作ればよい(それ以上の段取りが無い)のであれば、できてしまえさえすればいい。あとは参加者の想いに委ねられる。
 問題はぶっつけ本番でどこまで広まるか。それを見て意図が伝わるか、賛同を得られるかどうか…。

 まず、企画を知っている人が散発的に実行に移したとしても、この広い会場では席の位置が分散して結局皆が思い思いの色にしているようにしか見えない。それでは誰も企画の存在に気づきません。
 相応の人数が事前に知っていて偶然それなりのエリアを形成しているか、発案側の案内を聞いた人たちや企画を知っている参加者の一部が周りにも広めれば、少なくともある程度まとまった領域で実行される可能性はあります。
 そして今回、偶然なのか周知の努力が功を奏したのか、かろうじて「何かやろうとしているのでは?」と認識できる程度の範囲と密度で変化が生じていて、それが呼び水となりました。
 「これはもしかするとやってみたらできるかもしれない」「せっかくだし揃えてみるか」そう思ったはずです(後述しますが賛同を得られるだけの雰囲気も醸成されていたと思います)

 ここからは1日目に1塁側外野スタンド席に居た自分から見た当時の様子。
 アンコールに入って程なく、正面の3塁側外野スタンドである程度まとまったエリアでなんとなく虹っぽく色が分かれている様子が確認できました。
 それを見て、「もしかして虹を作ろうとしているのかも」と察し、誰ともなくじゃあ合わせようと自分の位置関係と見比べてコピーし始めました(特にブロックの最後列や最前列など、位置と色の対応がわかりやすい付近が早かったと思います)。上下左右の連なりが見やすく位置関係も把握しやすい構造なので、比較的容易です。
 これと同じ現象が3塁側でも起きていた(相互に色分けのコピーが行われていった)と考えられます。互いに変化に気づきコピーが始まったのか、徐々に色が綺麗に分かれ始めました。
 ある程度揃えば、揃ってきたことでざわめきだし、それで異変に気づいた人も色を合わせ始めます。この時点ではもう周りの人の色に合わせさえすれば良いのであとは早い。ここから急速に色が揃い、一気に虹が完成したように記憶しています。
 虹が完成した瞬間は、自分も含め多くの人が思わず歓声を上げて立ち上がっていました(スタンディングオベーション状態)。それほどに感動と興奮を覚える出来事でした。関係者席と思われる付近もしっかり色が揃えられていましたからね。

 さて、以心伝心、見よう見まねで虹を作ることは奇跡的になんとかできましたが、作った虹をこれからのアンコール曲中どうするかという段取りまでは伝わりようがありません。けれどその時既に、とにかくもうこれは何としてでも維持しないといけないだろうというのが、皆の間で共通認識として芽生えていたと思います。
 そしていつものようにアンコール曲も9人曲だったら、ここまでくればもう後は容易だったのですが、意外なことに、今回1曲目に来たのはAZALEA。ユニットでした(これは企画者は勿論、誰しもが予想だにしていなかったでしょう)。
 しかしそれでも虹は維持され続けました。久々のナンバリングライブでのユニットです。ユニットカラーに思わず変えたくなるところなのに、皆がそれでも変えずに虹を維持し続けた。これは本当にこの光景をなんとしてでも全力で見せてあげたいという参加者全員の想いの強さの賜だったと思います。想いよひとつになれです。少なくともこの後(おそらく最後の曲として)「Next SPARKLING!!」が来るであろう事は誰もが予想していたはずなので、絶対にそこで虹を架けておきたいという気持ちもあったでしょう。

 そしてスタンド席が虹を維持しているその代わりに、アリーナはユニットカラーで彩ってくれた。そして最後はアリーナでみかん色を補完(一応立ち見がみかん色だったようですが、当然少ない。それを察知してアリーナ内で伝播していったみたいです)。
 素晴らしい連携だったと思います。

 また、メットライフドームの特殊な構造が成功に寄与した部分も大きいのではないかと思います。
 多くの野球場と異なり、丘陵地を掘り下げて造られたメットライフドームは、客席が複数の階層に分かれておらず、また、通路やブロック間にゲートなどもほぼ無く客席全体が綺麗なすり鉢状でひと続きになっています。
 ほぼ全ての客席の位置からスタンドの状況や位置関係が把握しやすく、どの席から見ても綺麗な虹の様子が見えるので、端から端まで虹がつながって自分もその一部になっているのが実感でき、一体感や参加意識が生じやすかったはず。

 そして今回のライブコンセプト。
 劇場版を中心とした構成になるであろう今回のライブにとって、虹というのは大きな意味を持つものでした。そして実際にステージセットは勿論のこと、照明や映像、舞台演出にも虹のモチーフが多く用いられ、「虹」が多くの参加者にとって極めて印象的なものになっていたと思います。
 そんなライブのコンセプトとも合致していたことが、実現させようという機運を高めたのではないでしょうか。
 このライブなら今こそこのアイディアに乗ってみる、賛同してみる、やってみる価値や意義がある、そう思わせるだけのものがあの瞬間には存在していたと思います。それはやはりライブを作り上げた全スタッフ関係者の、そしてAqoursの力に他ならない。

 …とまぁ、論理的に要因を紐解いてみるとこんなところだと思いますが、もうひとつ大きなきっかけがあったと考えています。
 というかこれが最大のきっかけだったと思います。言葉の魔法と言ってもいい。
 それは、アサミさんのMCでのお願いです。

 「レインボーを作って

 Saint Aqours SnowのMCパートで、アサミさんは「お願いがある」として皆のペンライトで虹を作って欲しいと語り、観客はそれに応えました。もちろんこのときの「レインボー」はそれぞれが思い思いの色を振って欲しいというものでしたが、このことは観客の心に深い印象を与えたはずです。

 μ's 3rdライブの大合唱の時と同じ。あの時も、「一緒に歌って!」が魔法をかけた。そして今回、アサミさんの「レインボーを作って!」が観客に魔法をかけたのです。

 だから、企画を知っていた人はアンコールで実行しなきゃ、広めなきゃと思ったでしょうし、アンコールで虹ができはじめているのを見たとき無意識に多くの人が「レインボーを作らなきゃ!」と感じたのではないでしょうか。今度は本当の虹を作るんだ、と。


 まぁいずれにせよ、奇跡です。キセキヒカルですw

 様々な要因が積み重なり、ここまでの様々な想いが結実して起きた奇跡。
 数千人のホールならまだしも、ドームライブ規模でこういったことが起こるというのは、本当に凄いことですよ。発案があり自然発生では無かったとはいえ、常識的に考えるとまずそう簡単にはあり得ない(というか自然発生ではそれこそ不可能に近かったでしょう)。少なくとも今回のような出来事の事例を自分は他に知りません(無線制御で自動的に作り出すのなら昨今いくらでもありますがw)
 それほど凄いことを、Aqoursは、そして10人目の皆はやってのけたのです。これは本当に誇りに思っていいと思います。

 実現させた10人目の皆に、改めて心からの敬意を表します。

 Over The Next Rainbow !!!!!!!!!!


コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標または登録商標です。

引用の範囲を超えた無断転載・盗用等は固くお断りいたします。
Reproducing all or any part of the contents is prohibited.
(C)2010 yamakazu0215 All Rights Reserved.