「ラブライブ!サンシャイン!!」第8話感想 [アニメ]
#08「くやしくないの?」
「前回のラブライブ!サンシャイン!!」は無しで、今回はSaint Snowのステージからスタート。まぁいろんな意味でインパクトのあるステージに圧倒される千歌。続いてはAqoursの皆さんというワケで「青空Jumping Heart」披露…ではなくて、これはオープニングです。
Aパート。イベントを終えて東京タワーにやってきた6人。
浮かない表情の梨子と曜ちゃん。「この街、1300万人も人が住んでるのよ…って言われても、全然想像できないけどね」と呟く梨子ちゃんの言葉は、6話での「この街ってこんなに人が居たんだ」と対になっている言葉でもありますね。
一方、善子ちゃんはリトルデーモン召喚とかポーズを決めて「かっこいい」とご満悦。でも確かにこのシーンの善子ちゃんはちょとカッコよかった。端から見るとヘンな人ですが。でもこの善子ちゃんのキャラにはけっこう救われる気がします。
とそこへ、あからさまに明るく振る舞ってアイスを配る千歌ちゃん。
今日のライブは今までで出来は一番良かった、それに、まわりはみんなラブライブ!本戦に出ているような人たちだから、入賞できないのも仕方ない…と。
ですが、梨子ちゃんが言うようにラブライブ!を目指すからにはそうも言っていられません。「これがトップレベル。これくらいできなきゃいけないと思ったのに、入賞すらしていなかった」という曜ちゃんの言葉は、全国クラスの実力を持つ曜ちゃんならではの視点でもあり、だからこその説得力があります。梨子ちゃんもピアノのコンクールで競い合う場を経験しているからよくわかる。
と、そこへ電話。イベント司会のお姉さんが渡すものがあったようです。再び会場に戻るった千歌たちは一通の封筒を受け取ります。なんでも投票の結果だそうですが、渡すのを躊躇っていたという口ぶりからも嫌な予感がします…。
封筒から取り出したリストには、入賞者だけではなく全参加者の順位とその得票数が記載されていました。Saint Snowは9位(9位というのもなかなかに皮肉な順位です)。
肝心のAqoursは…30位(善子ちゃんの「ビリってことォ!?」っていうストレートなリアクションが、なんだか善子らしくて可愛かった)。
そして得票数は…「0」。
完敗からのスタートとはいえ実質的には観客が居たμ’sよりもある意味辛い。大勢の観客がそこに居て見ていたのに誰も票を入れてないワケで、なかなかにショッキングです。
そこへSaint Snowの二人が。
千歌たちに向かって今日のパフォーマンスは素晴らしかったと評しつつも、「もしμ’sの様にラブライブ!を目指しているのなら、諦めた方が良いかもしれません」…ズバリ言ってくれますねぇ。
妹の方は「ラブライブ!は遊びじゃない!」と怒りも露わ。
まぁあれだけ自信満々で、実際言うだけのものは披露して、それでも入賞は逃してしまったというのもさぞ悔しかったのでしょう。
うーん、なかなかキツい洗礼です。
帰りの電車も、そこはかとなく重い空気が漂っています。
そんな中でも「今の私たちの精一杯ができたんだから」と明るく振る舞う千歌ちゃんに、たまらず曜ちゃんが尋ねます。
「千歌ちゃんは悔しくないの?」
ハッとなる一同。千歌の応えは…
「そりゃあ…少しは。でも満足だよ。みんなであそこに立てて。私は嬉しかった」
■過去、現在、未来。
沼津へ帰ってきた千歌たちを、クラスのみんなが出迎えに来てくれていました。イベントの様子を聞いて「本気でラブライブ!決勝狙えちゃうかもってこと!?」なんて盛り上がってます。これは辛い…。
と、そこへダイヤさんも迎えに。これにはたまらず泣き出してしまうルビィちゃん。「よく頑張ったわね」と抱いてあげるダイヤさん優しい。マジ女神…。
場所を移し、千歌たちから得票ゼロという話を聞いたダイヤさん、「やっぱりそういう事になってしまったのですね」…と、予感はしていたようです。
「あなたたちは決してダメだったわけでは無いのです。スクールアイドルとしてじゅうぶん練習を積み、見てくれる人を楽しませるに足りるだけのパフォーマンスもしている」…でも、それだけではダメなのだと。
「7,236」去年最終的にエントリーしたスクールアイドルの数だそうです。第1回大会の10倍以上。
以前から人気だったスクールアイドルが、大会の開催と、A-RISEとμ’sの活躍によって揺るぎないものになり、アキバドームで決勝が行われるまでになった。そしてそれが、急激な層の拡大とレベルの向上を生んだ。…なんとも皮肉な話です。
「あなたたちが誰にも支持されなかったのも、私たちが歌えなかったのも、仕方の無いことなのです。」
…ん?私たちが歌えなかった?
「2年前、既に浦の星には統合になるかも…という噂がありましてね」
ついに明かされる3年生の過去、2年前の出来事が回想で描かれます。
「学校を廃校の危機から救うにはそれしかありませんの!」
「鞠莉スタイルいいし、一緒にやったら絶対注目集めるって!」
「ソーリー。そういうの興味ないの」と素っ気ない鞠莉に「うんって言うまでハグする!」果南。楽しそうに笑うダイヤさん。
いやあ若い!w…じゃなくて、今の姿とはまるで正反対です。
そして回想シーンに出てきた部室はまさに、今千歌たちが使っている部室。そしてホワイトボードに書かれた歌詞。やはりこの時の痕跡でした。今後出てくる新曲の歌詞になったりするのでしょうか。
今の千歌達と同じように、東京のイベントに招待された当時のダイヤさんたち。
ラブライブ!が一気に近づくと意気込むも…
「でも、歌えなかった」
他のグループのパフォーマンスの凄さと、巨大な会場の空気に圧倒され、何も歌えなかった。
「あなたたちは歌えただけ立派」
反対していたのはいつかこうなると判っていたから。
3話でのダイヤさんの言葉も今改めて聞くとまた違ってきますね…。
そしてその時受けたショックが、その後の3人を大きく変えてしまったのでしょうか?
「外の人にも見てもらうとか、ラブライブ!に優勝して学校を救うとか、そんなのは絶対に無理なんだよ」
「だから諦めろって言うの」
「私はそうすべきだと思う」と言う果南に、手を広げ“ハグ”を求める鞠莉。しかし果南はその手を避けて立ち去ります。「誰かが…傷つく前に」…と言い残し。
その背中に涙を流しながら叫ぶ鞠莉。
「私は諦めない…必ず取り戻すのあの時を!果南とダイヤと失ったあの時を!…私にとって、宝物だったあの時を…」
鞠莉にとっての本当の大切なもの。取り戻したいもの。
何としても取り戻す。あらゆる手を使って。
切ないなぁ…。
3年生組は、過去と今とで立ち位置が逆転していて、何というか「過去」「現在」「未来」という感じもしますね。
どちらかといえば最初乗り気では無く拒絶する側だった鞠莉が、今は何としても取り戻したいと願う。ノリノリで求める側だった果南は過去に背を向け諦めきっている。ある意味立ち位置的に変わらずにいるのがダイヤ。以前からスクールアイドルファンだったダイヤは、その気持ちを封印するも抱き続け、見守る側に立っている。
過去を取り戻したい鞠莉。変化を拒み動かない果南。ダイヤは比較的前を見て行動しているものの、良き理解者であるがゆえのジレンマも抱えている。鞠莉と果南の止まってしまった時をいかに動かし、ダイヤのジレンマを解いてあげるかが、こじれた3年生組を動かすカギになりそうです。
そういう意味では、“ハグ”も鞠莉が求めるのではなく、果南が鞠莉をハグしないといけないんですよね。たぶん。
そうそう、1年生の夏服が袖無しだったのは、見た目で1年生だと一目瞭然で判るようにするためだったのかもしれませんね。だから今回の回想シーンも1年生の頃のダイヤ・果南・鞠莉だとひと目でわかるようになっている、と。
■近くて遠い
ダイヤさんの話を聞いて、メンバーそれぞれに思いを巡らせる夜。
このシーンは夜空の満月が印象的でした。花丸のカットは湯呑に映る月で間接的ではありますが、メンバーそれぞれのシーンで背景に満月が描かれているんですよね。丸い満月は「0」も連想させますし、「満」月だから「Full」でもある。
見上げる丸い月は遠く手を伸ばしても触れることが出来ない。
ゼロとイチは、近くて遠い概念。
2話で千歌と梨子の伸ばした手が触れあったベランダの間隔は、心なしか広く見える。
ベッドから転げ落ちる千歌。手を伸ばしたμ’sのポスターは遠く届かない。
そして曜ちゃんの「千歌ちゃん、やめる?」ですよ。
3話での“千歌ちゃんのけしかけ方”ネタが活きてる。
こう言えば万事オッケーと思ってきたやり方が通用しない。
せっかく一緒に本気になれるものが出来たと思ったのに…。
■Step! ZERO to ONE
翌朝の早朝。ふと目が覚めた梨子ちゃんは海辺に歩いて行く千歌ちゃんを目撃します。桟橋に佇み海を見つめる千歌。この構図、第1話の千歌と梨子の出会いのシーンの逆パターンですよね。
で、まさか!と心配する梨子ちゃんを余所に、ケロッとした感じで海から顔を出す千歌。びっくりさせないでとばかりに「いったい何してたの!?」と聞く梨子。
「いやぁ、何か見えないかなって」と千歌ちゃん。
以前梨子ちゃんが海の音を聞こうとしていたように、何か見えないかと思って潜ってみた、と。でも何も見えなかった。(このシーンは曇天というのもミソですよね。2話で海に潜ったシーンも、曇っていて何も聞こえなかった)
けれど「だから思った、続けなきゃって」
まだ何も見えていない。この先にあるのがゼロなのかイチなのか。10になるのか。ここで止めたら全部わからない。だから続ける。
「だってまだゼロだもん!…ゼロなんだよ…」
あれだけみんなでがんばって歌を作って練習して…がんばってがんばって…
みんなにいい歌聴いて欲しいって…スクールアイドルとして輝きたいって…
「なのにゼロだったんだよ!くやしいじゃん!!」
差が凄いとか、昔と違うとか、そんなことどうでもいい。
やっぱりくやしい。
堰を切ったように溢れ出す千歌の心を表すかのようにしとしとと降り出す雨。
μ’s以前と比べものにならないくらい規模が大きくなって、レベルも上がってる。だから仕方ないとか、そういうことでは無い。そんなの関係ない。
みんなでいい歌を作って、練習して、聴いてくれる人を楽しませたくて、できる限りの精一杯のパフォーマンスをした。なのにゼロだった。悔しくてたまらない。
そんな千歌ちゃんの姿に、「良かった…やっと素直になれたね」と優しく抱きしめる梨子ちゃん。
「だって私が泣いたら、みんな落ち込むでしょう」
せっかくスクールアイドルやってくれたみんなに、悲しい思いをさせたくないと言う千歌ちゃん。…かわいすぎかッ!!!!
しかもこの台詞の演技がほんとうに素晴らしくて。個人的にここ数年でもトップクラスに入る名演技だと思うくらいグッときました。
ああ、この子は本当にスクールアイドルが大好きなんだ。
大好きで、憧れて、輝きたくて、みんなも誘ったのに、悲しい思いをさせたくない。
6話で「一応言い出しっぺだし」と責任を感じていた様子も思い起こされます。
特別な能力や圧倒的なカリスマも秘めていない、普通星人の普通怪獣ちかちーが、沢山の責任を背負って、精一杯リーダーを務めようとしてきた。みんなも、そんな千歌ちゃんが必死にこらえているのは気付いていた。
…だから、「ばかね、みんな千歌ちゃんのためにスクールアイドルやってるんじゃないの。自分で決めたのよ」…と、その荷を下ろしてあげる梨子ちゃん。
ふと海岸を見ると他のみんなも来ていました。
そして千歌ちゃんの手を取る梨子(この場面も2話との対になっていますね)。
「だからいいの、千歌ちゃんは感じたことを素直にぶつけて、声に出して」
「みんなで一緒に歩こう。…一緒に」
わんわん泣く千歌ちゃん姿を嬉しそうに見守るみんな。
今からゼロを百にするのは無理だと思う。
でも、もしかしたらイチにすることはできるかも。
私も知りたいの、それができるか。
ゼロからイチへ。まさにStep! ZERO to ONE。
この時のキモチから「Step! ZERO to ONE」が誕生したのかなと思うとなかなかにグッとくるものがあります。
そしてふと気がつけば雨も上がり、雲間から日が差してきました。
心も晴れやかに、さあ再スタートです!
ラストの部室のホワイトボードに投票結果の用紙を貼りだし練習へ…という場面も、ラブライブ!2期11話ラスト(証明写真を貼って練習へ)を彷彿とさせる構図ですね。
8話は、点と点が繋がったり、これまでのことがまた違った見え方をしてきたり、「ああそうか!」「なるほど!」とピースがパチパチはまっていく様なお話でした。
いろいろと布石やらミスリードやらで巧みに積み上げてきたこれまでのエピソードが8話のクライマックスに結実していて、いやぁホント凄いなぁ…。
「前回のラブライブ!サンシャイン!!」は無しで、今回はSaint Snowのステージからスタート。まぁいろんな意味でインパクトのあるステージに圧倒される千歌。続いてはAqoursの皆さんというワケで「青空Jumping Heart」披露…ではなくて、これはオープニングです。
Aパート。イベントを終えて東京タワーにやってきた6人。
浮かない表情の梨子と曜ちゃん。「この街、1300万人も人が住んでるのよ…って言われても、全然想像できないけどね」と呟く梨子ちゃんの言葉は、6話での「この街ってこんなに人が居たんだ」と対になっている言葉でもありますね。
一方、善子ちゃんはリトルデーモン召喚とかポーズを決めて「かっこいい」とご満悦。でも確かにこのシーンの善子ちゃんはちょとカッコよかった。端から見るとヘンな人ですが。でもこの善子ちゃんのキャラにはけっこう救われる気がします。
とそこへ、あからさまに明るく振る舞ってアイスを配る千歌ちゃん。
今日のライブは今までで出来は一番良かった、それに、まわりはみんなラブライブ!本戦に出ているような人たちだから、入賞できないのも仕方ない…と。
ですが、梨子ちゃんが言うようにラブライブ!を目指すからにはそうも言っていられません。「これがトップレベル。これくらいできなきゃいけないと思ったのに、入賞すらしていなかった」という曜ちゃんの言葉は、全国クラスの実力を持つ曜ちゃんならではの視点でもあり、だからこその説得力があります。梨子ちゃんもピアノのコンクールで競い合う場を経験しているからよくわかる。
と、そこへ電話。イベント司会のお姉さんが渡すものがあったようです。再び会場に戻るった千歌たちは一通の封筒を受け取ります。なんでも投票の結果だそうですが、渡すのを躊躇っていたという口ぶりからも嫌な予感がします…。
封筒から取り出したリストには、入賞者だけではなく全参加者の順位とその得票数が記載されていました。Saint Snowは9位(9位というのもなかなかに皮肉な順位です)。
肝心のAqoursは…30位(善子ちゃんの「ビリってことォ!?」っていうストレートなリアクションが、なんだか善子らしくて可愛かった)。
そして得票数は…「0」。
完敗からのスタートとはいえ実質的には観客が居たμ’sよりもある意味辛い。大勢の観客がそこに居て見ていたのに誰も票を入れてないワケで、なかなかにショッキングです。
そこへSaint Snowの二人が。
千歌たちに向かって今日のパフォーマンスは素晴らしかったと評しつつも、「もしμ’sの様にラブライブ!を目指しているのなら、諦めた方が良いかもしれません」…ズバリ言ってくれますねぇ。
妹の方は「ラブライブ!は遊びじゃない!」と怒りも露わ。
まぁあれだけ自信満々で、実際言うだけのものは披露して、それでも入賞は逃してしまったというのもさぞ悔しかったのでしょう。
うーん、なかなかキツい洗礼です。
帰りの電車も、そこはかとなく重い空気が漂っています。
そんな中でも「今の私たちの精一杯ができたんだから」と明るく振る舞う千歌ちゃんに、たまらず曜ちゃんが尋ねます。
「千歌ちゃんは悔しくないの?」
ハッとなる一同。千歌の応えは…
「そりゃあ…少しは。でも満足だよ。みんなであそこに立てて。私は嬉しかった」
■過去、現在、未来。
沼津へ帰ってきた千歌たちを、クラスのみんなが出迎えに来てくれていました。イベントの様子を聞いて「本気でラブライブ!決勝狙えちゃうかもってこと!?」なんて盛り上がってます。これは辛い…。
と、そこへダイヤさんも迎えに。これにはたまらず泣き出してしまうルビィちゃん。「よく頑張ったわね」と抱いてあげるダイヤさん優しい。マジ女神…。
場所を移し、千歌たちから得票ゼロという話を聞いたダイヤさん、「やっぱりそういう事になってしまったのですね」…と、予感はしていたようです。
「あなたたちは決してダメだったわけでは無いのです。スクールアイドルとしてじゅうぶん練習を積み、見てくれる人を楽しませるに足りるだけのパフォーマンスもしている」…でも、それだけではダメなのだと。
「7,236」去年最終的にエントリーしたスクールアイドルの数だそうです。第1回大会の10倍以上。
以前から人気だったスクールアイドルが、大会の開催と、A-RISEとμ’sの活躍によって揺るぎないものになり、アキバドームで決勝が行われるまでになった。そしてそれが、急激な層の拡大とレベルの向上を生んだ。…なんとも皮肉な話です。
「あなたたちが誰にも支持されなかったのも、私たちが歌えなかったのも、仕方の無いことなのです。」
…ん?私たちが歌えなかった?
「2年前、既に浦の星には統合になるかも…という噂がありましてね」
ついに明かされる3年生の過去、2年前の出来事が回想で描かれます。
「学校を廃校の危機から救うにはそれしかありませんの!」
「鞠莉スタイルいいし、一緒にやったら絶対注目集めるって!」
「ソーリー。そういうの興味ないの」と素っ気ない鞠莉に「うんって言うまでハグする!」果南。楽しそうに笑うダイヤさん。
いやあ若い!w…じゃなくて、今の姿とはまるで正反対です。
そして回想シーンに出てきた部室はまさに、今千歌たちが使っている部室。そしてホワイトボードに書かれた歌詞。やはりこの時の痕跡でした。今後出てくる新曲の歌詞になったりするのでしょうか。
今の千歌達と同じように、東京のイベントに招待された当時のダイヤさんたち。
ラブライブ!が一気に近づくと意気込むも…
「でも、歌えなかった」
他のグループのパフォーマンスの凄さと、巨大な会場の空気に圧倒され、何も歌えなかった。
「あなたたちは歌えただけ立派」
反対していたのはいつかこうなると判っていたから。
3話でのダイヤさんの言葉も今改めて聞くとまた違ってきますね…。
そしてその時受けたショックが、その後の3人を大きく変えてしまったのでしょうか?
「外の人にも見てもらうとか、ラブライブ!に優勝して学校を救うとか、そんなのは絶対に無理なんだよ」
「だから諦めろって言うの」
「私はそうすべきだと思う」と言う果南に、手を広げ“ハグ”を求める鞠莉。しかし果南はその手を避けて立ち去ります。「誰かが…傷つく前に」…と言い残し。
その背中に涙を流しながら叫ぶ鞠莉。
「私は諦めない…必ず取り戻すのあの時を!果南とダイヤと失ったあの時を!…私にとって、宝物だったあの時を…」
鞠莉にとっての本当の大切なもの。取り戻したいもの。
何としても取り戻す。あらゆる手を使って。
切ないなぁ…。
3年生組は、過去と今とで立ち位置が逆転していて、何というか「過去」「現在」「未来」という感じもしますね。
どちらかといえば最初乗り気では無く拒絶する側だった鞠莉が、今は何としても取り戻したいと願う。ノリノリで求める側だった果南は過去に背を向け諦めきっている。ある意味立ち位置的に変わらずにいるのがダイヤ。以前からスクールアイドルファンだったダイヤは、その気持ちを封印するも抱き続け、見守る側に立っている。
過去を取り戻したい鞠莉。変化を拒み動かない果南。ダイヤは比較的前を見て行動しているものの、良き理解者であるがゆえのジレンマも抱えている。鞠莉と果南の止まってしまった時をいかに動かし、ダイヤのジレンマを解いてあげるかが、こじれた3年生組を動かすカギになりそうです。
そういう意味では、“ハグ”も鞠莉が求めるのではなく、果南が鞠莉をハグしないといけないんですよね。たぶん。
そうそう、1年生の夏服が袖無しだったのは、見た目で1年生だと一目瞭然で判るようにするためだったのかもしれませんね。だから今回の回想シーンも1年生の頃のダイヤ・果南・鞠莉だとひと目でわかるようになっている、と。
■近くて遠い
ダイヤさんの話を聞いて、メンバーそれぞれに思いを巡らせる夜。
このシーンは夜空の満月が印象的でした。花丸のカットは湯呑に映る月で間接的ではありますが、メンバーそれぞれのシーンで背景に満月が描かれているんですよね。丸い満月は「0」も連想させますし、「満」月だから「Full」でもある。
見上げる丸い月は遠く手を伸ばしても触れることが出来ない。
ゼロとイチは、近くて遠い概念。
2話で千歌と梨子の伸ばした手が触れあったベランダの間隔は、心なしか広く見える。
ベッドから転げ落ちる千歌。手を伸ばしたμ’sのポスターは遠く届かない。
そして曜ちゃんの「千歌ちゃん、やめる?」ですよ。
3話での“千歌ちゃんのけしかけ方”ネタが活きてる。
こう言えば万事オッケーと思ってきたやり方が通用しない。
せっかく一緒に本気になれるものが出来たと思ったのに…。
■Step! ZERO to ONE
翌朝の早朝。ふと目が覚めた梨子ちゃんは海辺に歩いて行く千歌ちゃんを目撃します。桟橋に佇み海を見つめる千歌。この構図、第1話の千歌と梨子の出会いのシーンの逆パターンですよね。
で、まさか!と心配する梨子ちゃんを余所に、ケロッとした感じで海から顔を出す千歌。びっくりさせないでとばかりに「いったい何してたの!?」と聞く梨子。
「いやぁ、何か見えないかなって」と千歌ちゃん。
以前梨子ちゃんが海の音を聞こうとしていたように、何か見えないかと思って潜ってみた、と。でも何も見えなかった。(このシーンは曇天というのもミソですよね。2話で海に潜ったシーンも、曇っていて何も聞こえなかった)
けれど「だから思った、続けなきゃって」
まだ何も見えていない。この先にあるのがゼロなのかイチなのか。10になるのか。ここで止めたら全部わからない。だから続ける。
「だってまだゼロだもん!…ゼロなんだよ…」
あれだけみんなでがんばって歌を作って練習して…がんばってがんばって…
みんなにいい歌聴いて欲しいって…スクールアイドルとして輝きたいって…
「なのにゼロだったんだよ!くやしいじゃん!!」
差が凄いとか、昔と違うとか、そんなことどうでもいい。
やっぱりくやしい。
堰を切ったように溢れ出す千歌の心を表すかのようにしとしとと降り出す雨。
μ’s以前と比べものにならないくらい規模が大きくなって、レベルも上がってる。だから仕方ないとか、そういうことでは無い。そんなの関係ない。
みんなでいい歌を作って、練習して、聴いてくれる人を楽しませたくて、できる限りの精一杯のパフォーマンスをした。なのにゼロだった。悔しくてたまらない。
そんな千歌ちゃんの姿に、「良かった…やっと素直になれたね」と優しく抱きしめる梨子ちゃん。
「だって私が泣いたら、みんな落ち込むでしょう」
せっかくスクールアイドルやってくれたみんなに、悲しい思いをさせたくないと言う千歌ちゃん。…かわいすぎかッ!!!!
しかもこの台詞の演技がほんとうに素晴らしくて。個人的にここ数年でもトップクラスに入る名演技だと思うくらいグッときました。
ああ、この子は本当にスクールアイドルが大好きなんだ。
大好きで、憧れて、輝きたくて、みんなも誘ったのに、悲しい思いをさせたくない。
6話で「一応言い出しっぺだし」と責任を感じていた様子も思い起こされます。
特別な能力や圧倒的なカリスマも秘めていない、普通星人の普通怪獣ちかちーが、沢山の責任を背負って、精一杯リーダーを務めようとしてきた。みんなも、そんな千歌ちゃんが必死にこらえているのは気付いていた。
…だから、「ばかね、みんな千歌ちゃんのためにスクールアイドルやってるんじゃないの。自分で決めたのよ」…と、その荷を下ろしてあげる梨子ちゃん。
ふと海岸を見ると他のみんなも来ていました。
そして千歌ちゃんの手を取る梨子(この場面も2話との対になっていますね)。
「だからいいの、千歌ちゃんは感じたことを素直にぶつけて、声に出して」
「みんなで一緒に歩こう。…一緒に」
わんわん泣く千歌ちゃん姿を嬉しそうに見守るみんな。
今からゼロを百にするのは無理だと思う。
でも、もしかしたらイチにすることはできるかも。
私も知りたいの、それができるか。
ゼロからイチへ。まさにStep! ZERO to ONE。
こんどこそ こんどこそ
ゼロからイチの扉を開けよう 変わりたいときなんだ
たぶんこの先の未来は謎のままだね
この時のキモチから「Step! ZERO to ONE」が誕生したのかなと思うとなかなかにグッとくるものがあります。
そしてふと気がつけば雨も上がり、雲間から日が差してきました。
心も晴れやかに、さあ再スタートです!
ラストの部室のホワイトボードに投票結果の用紙を貼りだし練習へ…という場面も、ラブライブ!2期11話ラスト(証明写真を貼って練習へ)を彷彿とさせる構図ですね。
8話は、点と点が繋がったり、これまでのことがまた違った見え方をしてきたり、「ああそうか!」「なるほど!」とピースがパチパチはまっていく様なお話でした。
いろいろと布石やらミスリードやらで巧みに積み上げてきたこれまでのエピソードが8話のクライマックスに結実していて、いやぁホント凄いなぁ…。
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