「放課後のプレアデス」第2話感想

　#02「星めぐりの歌」

　2話では1話ですばるとあおいの会話がどこかお互いかみ合わない感じだった理由が判明しました。実は、すばるとあおいはそれぞれ別の世界のすばるとあおいだった（すばるの世界ではあおいは別の学校に行っていて、あおいの世界ではすばるが別の学校に行っていた。だからお互いの主張に齟齬が生じた）、と。
　劇中では「運命線」という表現が用いられていましたが、いわゆる並行世界の様な概念でしょうか。会長ことプレアデス星人がエンジンのカケラ集めの協力者を一人呼び寄せたはずが、五つの並行世界からそれぞれ一人ずつ一つの世界に呼び集められた、ということのようです。
　つまり、“Aさん”を協力者に選んだはずがなぜか“A'さん”や“aさん”や“αさん”やらも呼び寄せられ、一つの世界で同時に存在している…と。みんなが（少なくともすばるとあおいの関係は）同じ学校の同じ席だったらしいことから、“それぞれの世界で同じ立ち位置に居た”ということでもあるようです。プレアデス星人には7年前にさかのぼっての心当たりがあるようですが、結局その話は先延ばしとなりました。気になりますね…。

　放課後の飛行練習の場面では、運動神経抜群で天才肌なひかる、おっとり優しくて実は力持ちないつき。やっぱりミステリアスなななこと、それぞれの個性も表れていました。ちなみにシャフトの乗り方もみんな違っていて、ひかるといつきは横座りの左右逆、ななこは直立。すばるとあおいが正統派。それと、シャフトの独特の形状や設定を活かした乗り方のバリエーション（縦に持って星の所に乗るとか）も見ていて楽しい部分ですね。
　魔女っ子モノで箒の乗り方練習は定番ですが、自動車的だったり飛行機的だったり、本作独特の設定もあってなかなか面白い。速度と高度の話は後半でも活かされていて、そういう点でも見事な構成でした。というか、箒に乗って空を飛ぶという魔女っ子モノって、よくよく考えたら昨今珍しい気もします。

　Bパートでのポイントとしてはすばるとみなとくんが再び出会うシーンも外せません。展望室以外でもあの空間につながるんだ、というのが意外でしたし（どうやら展望室の鍵がキーアイテムになっている感じで、場所は必ずしも展望室ではなくてもいいみたいですね。何かしらの条件と扉と展望室の鍵が揃うと噴水ドームの空間につながる、という感じなのでしょうか）、冒頭のすばるのねぐせをうまく物語に活かして、直したいのに直らない癖毛というのが、変わる変わらないという2話のテーマともつながる巧い構成。
　そんな「気づき」からの、すばるとあおいが飛行練習をしながら語り合い、打ち解けていくシーンは良かったですね。音楽とのシンクロや場面転換からの時間経過の演出も見事でした。

　で、そんなところへ現れた赤と青のふたつのカケラ。いわゆる連星ですね（このあたりも2話のテーマとうまく絡めてあってうまい）。変光星やら赤方偏移やらといった天文用語やモチーフが出てくるのも面白い。車（スバル）要素だけでなく、天文学、航空・宇宙物理学的な要素も随所にちりばめられているのもこの作品ならではの魅力。
　そんな双子星のカケラを捕まえるために、サブタイトルにもなっている宮沢賢治の「星めぐりの歌」で歌遊び的にタイミングを合わせるというのも素敵。軽快なアレンジも楽しく、「赤」「青」という歌詞が含まれる点でも絶妙なチョイス（ちなみにBlu-ray特典のサントラCDにフルバージョンが収録されるらしいです）。
　また、遠心力を失い均衡が崩れて引き合う力でぶつかりそうになるのを、前半の練習シーンで学んだ速度と高度の関係で解決する（それに気付くのがすばるというのもミソ）という構成も見事で、こういう「そうだ、アレ！」と布石が活きてくる展開は大好きです。

　しかし、最後はまたしても謎の少年の登場で片方のカケラは奪われてしまう。
　落ち込むすばるでしたが、そんなすばるを励ますみんなの優しさと、バックに流れるエンディング主題歌とが本当に温かい雰囲気で素敵（逆ARIA方式というか、毎回こんな感じで本編ラストに重ねてくるスタイルなのでしょうか）。

　どんくさいけれど芯はしっかりしているすばる。
　ボーイッシュだけど乙女チックなあおい。
　天才肌でムードメーカーなひかる。
　上品で優しいけど力持ちないつき。
　ミステリアスで通訳係なななこ。

　2話はすばるとあおいを中心に、5人の置かれている状況のおおまかな説明やそれぞれの個性の描写、連星のカケラといったモチーフを巧みに用いた構成が見事な回でした。

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