SSブログ

「ラブライブ!」演出的みどころチェック(13話) [アニメ]

 最終13話は、まさに起承転結の「結」。みごとなまでの締めくくりだったと思います。見所も満載でした。

全話全員登場
 「ラブライブ!」は9人の主要キャラクターが登場しますが、実は第1話から13話まで全ての回で全員登場しています。埋もれて存在意義や印象が薄くなるようなキャラも居ない。脇を固めるキャラクターも皆魅力的でした。凄いことだと思います。背中と男泣きだけで視聴者の心をがっちりつかんだ穂乃果パパもスゴイw

アルパカが象徴するもの
 「ラブライブ!」でひときわ異彩を放っていたキャラクターと言えば、そう、アルパカです。振り返ってみるとアルパカはメンバーが加入する回で登場していることに気付きます。そして13話はメンバー再集結の回。なので、アルパカ再登場、です。

Bパートの時間圧縮
 別の記事で詳しく。

講堂の穂乃果と海未の位置関係
 Bパート冒頭で穂乃果と海未が語り合うシーン。最初は、ステージの上に立つ穂乃果を海未が客席の上の方から見下ろす位置にいます(この位置関係とシーンの見せ方は3話での穂乃果たちと絵里とのそれと意図的に同じようになっている)。そこから、自分の気持ちを語りながら客席を下りていく海未。客席後方の高い位置から徐々に最前列のステージよりも低い位置へ。そしていつの間にか、海未が穂乃果を見上げる格好に入れ替わっています。このとき海未は、穂乃果への憧れの気持ち、引っ張っていって欲しいという気持ちを語っています。
 そこから更に、ステージの上に上がって、並んで客席の方を向く。上下で向かい合っていた二人が、同じ高さ、同じステージに立ち、同じ目線で、同じ方向を向きます。
 この一連のシーンの立ち位置の変化が実に見事。
 そしてある意味このシーンの演出を成立させるために穂乃果と海未はわざわざ講堂という場所で対話をさせられているとも言える。

煌めくステージ
 色とりどりの光が煌めく客席。この光景、どこかで見覚えがありませんか?…そう、12話で穂乃果が見ていたA-RISEのライブ映像です。かなわない、届かないと思っていたA-RISEと同じような光景の前に、いま、立っている。

モニタの外のA-RISE
 これまでずっとモニタ越しの存在だったA-RISEが、この13話のラストで初めて“モニタを見ている側”になっています。モニタの向こうにいる憧れの存在、注目の存在、という立場の変化。


 シリーズの総括的な部分になりますが…
大人達の存在
 ラブライブ!では要所要所で大人達が登場します。ただし、基本的に大人達は手を貸してくれません(…が、大人達はきちんと彼女たちを見守っているという雰囲気は形成されている)。学園の理事長としてのことりママも、回答は教えてくれない。自分たちの力で解決しないといけない。
 そして彼女たちは”自分たち以外の誰か”に基本的には助けを求めない(ことりが母親に留学に行くべきかどうかの応えを求めたのは数少ない例外であり、そこには何か意図があったようにも思えますが、それはともかくとして、やはりここでも結局具体的な答えは示されません)。
 彼女たちは本当に悩み、考え、頑張って、だからこそ輝いている。競い合い認め合い、頑張る少女達の輝いている姿がアイドルアニメの真骨頂であり「ラブライブ!」の魅力かもしれません。

女子校・スクールアイドルという設定
 ラブライブ!の世界は男が居ない世界ではありません。父親は登場するし、通行人にも普通に男性は居ます。けれど、力や権力を振るう強者としては登場しませんし、もちろん、憧れの人や頼れる人としても登場しません。野太い歓声を発するキモイファンも存在しない。
 彼女たちが通う学校は女子校であり、スクールアイドルは女子中高生達の憧れであり、彼女たちは同じ年頃の女子達に向かって歌う。女子校部活モノで廃校阻止が目標、そして「スクールアイドル」というほぼ唯一の特殊設定によって見事なまでにキモイファンを違和感なく消し去っている。正直言って、野太い歓声やキモいファンの姿なんてあまり印象としてプラスになるものではありませんからね…。
 (CDドラマやG'sの記事などを読むとよく判りますが、彼女たちが想いを語りかけ、メッセージを届ける“あなた”は画面の“こちら側”に居ることになっている)

無駄に理屈をこねくり回さない
 「やるったらやる!」に代表されるというわけでもないけれど、ラブライブ!は問題解決、成長、前進において、無駄な理屈をこねくり回さない。それが展開のスピード感にも繋がっていたし、なによりストレートで有無を言わさぬ爽快感があった。
 (設定に凝ったor頼った作品に良くあるのですが)Aという設定に説得力を持たせるため、あるいは設定の穴をふさぐためにBという設定が持ち出されて、それはこれこれこういうものだという解説が入る、ラブライブ!はそんな面倒なことをしない。ランキングはこの世界でそういうランキングなんだからいいじゃん。と。

テンポ良く、でも必要なことは描く
 毎回非常にテンポ良く展開するストーリー。必要の無い段取りなどは大胆に省く一方で、見せるべきことはきちんと描かれてきました。1話では「歌って踊るアニメ」であることを示していますし、3話ではほのぼの日常みんなで仲良く楽しいアイドル活動な萌えアニメ…ではなく、ガチでいく王道路線、辛いことも厳しいことも真正面からドラマチックに描いていくアニメだと示しています。9話ではご丁寧すぎるほどわかりやすくことり留学の(すくなくとも海外がらみの何か不穏なことがことりがらみで起こると予感させる)伏線を張っています。そのうえで11話からのクライマックスの展開がある(10話の合宿回はある意味油断させる回だったとも言えますね)。

絶妙な商品展開
 アニメ放送中のプロモーションと商品展開の連携は実に見事でした。
 絶好のタイミングで発売になったベストアルバムを筆頭に、放送期間中に挿入歌CDが3枚リリースされることがまず明かされて多数の新曲への期待感を形成し、絶妙なタイミングで発売されていく挿入歌シングル。そして終了直後のサウンドトラック。わざわざ放送エピソードの内容や進行に合わせたバージョン違いのTVCM。
 入門書として申し分ない役割を果たした「電撃ラブライブ!」。そして13話放送後の6thシングル総選挙の発表。毎週放送直後に新しい情報を公開する公式Webサイト。アニメの物語と見事に連動したベルサール秋葉原でのイベント。
 ニコ生での「ことほのまき」もちょうど良いタイミングで作品紹介に貢献し、週間化したラジオの「にこりんぱな」も感想の受け皿として一役買いました。
 ヘンな誇大広告や話題づくりに走らず、作品そのものの力を信じ、欲しい、知りたい、という欲求が高まっているタイミングにしっかり商品や情報、次の展開を投入してきたのは見事でした。
 主題歌や挿入歌がストーリーと密接に作られていたことに加え、地に足の着いた大局的で綿密な商品戦略・プロモーション計画のたまものといったところでしょう。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0


記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標または登録商標です。

引用の範囲を超えた無断転載・盗用等は固くお断りいたします。
Reproducing all or any part of the contents is prohibited.
(C)2010 yamakazu0215 All Rights Reserved.