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「ラブライブ!」演出的みどころチェック(4~6話) [アニメ]

 さて、TVアニメ「ラブライブ!」も6話までが終わり、いよいよ折り返しです。
 4話~6話までは「起承転結」の「承」といったところで、よし、やるぞ!となった流れを受け、メンバーを集めて活動を本格化させていくまでが、これまでとはすこし異なってそれぞれのキャラクター寄りに視点を置いて描かれていました。

 そんな4話~6話でのみどころといえばやはり…

 割烹着姿の穂乃果が嫁すぎる!…ということでしょう。
割烹着ほのかわ
 「あなた、ごはんにする?お風呂にする?それとも…」

 …いや、…まぁ、それはさておき…。

 まず、これまでの話数を見ていて面白いなぁと思ったのをいくつか。

時間経過の表現
 「ラブライブ!」は、時間経過を表現するのに時計やカレンダーに頼っていません。正確な日時をわざわざ見せる必要が無いということもありますが、一日の変化は明るさや空の色、時期の進行は「桜」「梅雨」「衣替え」といった感じに、画で見せ伝えることで直感的かつ無意識に認識できるよう工夫されており、かつ、無駄なカットを省くことや様々な演出効果にもつながっています。
 例えば、国立音ノ木坂学院は「節電」を実施しているようです(2話で張り紙があります)。このため、必要の無いときは極力電気は消されており、原則として放課後は使わない教室や廊下の蛍光灯は消灯されています。つまり、廊下が薄暗い場面は基本的には放課後です。そしてこれは学校内の描写が多い本作において時間帯の違いをわかりやすく表現すると共に、シーンに変化を付けたり光と影を使った印象的な表現をもたらしています。

瞳の輝き
 普通は陰色は暗めの色に落としたりするのですが、「ラブライブ!」は逆光や日陰や夜などの薄暗いシーンでも瞳の色やハイライトが比較的明るい。そして、非常に透明感を感じさせる塗り分けとハイライトの描き込みがなされていることとも相まって、これがある種独特の瞳の輝きや吸い込まれるような目力を生み出しているというか、キャラクターに生気を与え瞳を強烈に印象づけていると思います(人によってはこれが「目に違和感」と感じてしまうかもしれません)。
 「ラブライブ!」はキャラクターの表情が豊かという印象がありますが、この強烈な瞳の印象によるところも大きいのではないでしょうか。アニメキャラクターはなにかと瞳が大きいので、やはり目の表現力というのは大きいんだなぁというのを改めて実感します。

鞄のマスコット
 みんなそれぞれ鞄に何かしらのマスコットを付けてるっぽいんですよね。


■4話「まきりんぱな」
花陽の視点からの物語
 これまでの穂乃果を中心としたエピソードから一転、花陽の視点からの物語となっている4話。これまでとは違った角度から描かれています。勢いとパワーに満ちていたシリーズ導入の1~3話からいったん落ち着いて、花陽ならではのちょっとゆったりとしたペースと視点から「ラブライブ!」という物語を俯瞰してみる回でもあります。

花陽を中心とした凛と真姫との対比
 4話は花陽加入のエピソードが軸として描かれていますが、同時に凛ちゃんと真姫ちゃんの物語でもあるという構造になっています。自らの夢になんとか進もうとする花陽に対し、自らの夢を諦めている凛と真姫。花陽を後押しする想いが、同時に自らの夢を再認識すると共に、無意識に託そうとすることにもなっている。そして、花陽を押していたつもりが、いつのまにか花陽に引っ張られる格好にシフトします。

START:DASH!!
 「ゆっくり考えて、答えを聞かせて」「私たちはいつでも待ってるから」というセリフに続くような「START:DASH!!」の歌詞。穂乃果達の歌が花陽、凛、真姫に語りかけるかのような構成になっています。1話の時と同じように、歌が単なるBGMとしてではなく、ストーリーに沿って、メッセージとしてきちんと組み込まれているというのがポイントですね。

夕暮れの屋上
 クライマックス、まだ空が明るい放課後のシーンから一転、夕暮れでオレンジ色に染まった空に場面転換します。それだけの時間花陽は引っ張り回されてようやく屋上にたどり着いた…という時間経過を誇張した演出であると共に、暖色のトーンで描かれる屋上のシーンはどこかぬくもりを感じさせます。
 暖かな色合いに包まれ、みんなの優しい笑顔に包まれた空間が、美しく力強い劇伴とも相まって感動を誘う場面になっています。
 ちなみにこのシーンは夕暮れの屋上のカットになってからずっと音楽が流れてており、その曲調の変化とシーンの展開が絶妙にシンクロしているところも聴き所です。

メガネからコンタクトへ
 よくある自分を変えるためとかではなくて、「せっかくだから気分を変えてみたんだけど、どう?」…という程度の感じでしょうか(めがねを外して自分を変えてメンバーに入れて下さいと言ったワケでも無いですし)。ある意味本来の姿に戻っただけでもありますし、そんなに深い意味は無いような気がするんですよね。
 真姫が「めがね外したついでに」と言っていることから逆説的に考えると、シナリオ上、真姫にきっかけを与えるためにめがねをかけさせていた、なんて見方もできるかも?

■5話「にこ襲来」
全編にわたって降り続ける雨
 5話はアバンタイトルと最後を除いて、全編にわたって雨が降り続けています。練習ができないという状況を作ると同時に、にこの憂鬱な心情を物語るかのようでもあります。3話は明暗の使い分けが非常に印象的な回です。

う○ち
 ハンバーガーショップでのにこの帽子はどうみてもう○ちです。そしてう○ちを連呼する少年が手にしているソフトクリームの色はどう見ても…。まぁ、それはそうと、「う○ち」と「アンチ」を掛けてあるようなないような?
 あと、にこ的にアイドルの変装といえばサングラス、という感覚なのでしょうね。1話や4話冒頭でのあからさまに怪しい変装といい、にこのある種極端なアイドル観を表しているとも言えます。

ハンバーガー泥棒
 にこがハンバーガーを横取りしようとして見つかる場面、ヘッドフォンなどでじっくり聞くと判るのですが、バーガーをそっと置くのと連動して環境音がすーっと消えていくんですよね。これが面白い。「ラブライブ!」は音響面も工夫が凝らされているので、できるだけ音も良い環境で視聴されることをお薦めします。

雨の放課後
 にこ先輩に部室から追い出され、希から過去の話を聞かされるところからの一連のシーン。ここも場面の展開と劇伴、音響効果の相乗効果が見事なシークエンスです。音楽とシンクロした映像。にこの寂しげな気持ちに寄り添うかのようなピアノ。暗くなっていく風景。消えていく環境音。部室に入る時点で音は無くなり、部屋も真っ暗。が、そこから一転、明るい部室には賑やかなメンバー達。力強く前向きな音楽、降り続いた雨が上がり日差しが降り注ぐ。この怒濤の転換が実に素晴らしい。

名前で呼ばれたい真姫ちゃん
 4話の時といい、真姫ちゃんは名前で呼ばれることを好むみたいですね。真姫ちゃんかわいいよ真姫ちゃん。

■6話「センターは誰だ?」
取材ビデオの映像
 登場人物がビデオカメラで撮影しているという表現は、通常のシーンとは違ってカット割りで構成するわけにはいかない連続した1カットになるので、カメラワークといえばせいぜいパン(上下左右にカメラを振る動作)と、あとは手ぶれの表現があるくらいで、なにかと単調な画になりがち。そこにズームの表現を積極的に使ってきたことでリズミカルな映像になっています。アニメで「ビデオカメラ撮影のズーム」という表現はありそうでなかなか見ない気がするという点でも新鮮です。
 ズームの表現も作画版LODというか(LODとは「Level of Detail」の略で、主にリアルタイム3DCGでカメラからの距離に応じて3Dモデルの精度を切り替える技術のことです)、倍率ごとの作画の切り替えタイミングやその誤魔化し方が実に巧みで面白く、適度な変化とリズム感を生み出しています。
 ドキュメンタリータッチな演出としても、録画中の映像とその様子、再生している映像とそれを見ている様子などを上手く織り交ぜて単調にならない工夫が見られます。

スライドで切り替わるカット
 穂乃果の部屋で、希に穂乃果は何をしているのと問われる場面。穂乃果を画面センターに据えたほぼ同じレイアウトのカットが、(ちょうど映写機のスライドを切り替えていくような感じで)左右にスライドして切り替わっていきます。穂乃果がほぼ同じ状態で周りの様子だけが変わっていくように見える面白い効果は、穂乃果がいつもたいして変わらずということも表しているかのようです。

3番勝負のシーン構成の繰り返し
 後半のリーダー決定対決は同じような場面構成が繰り返されます。
 にこ先輩の振り向きからの対決内容説明→お気楽なメンバーたちとこっそり秘策を語るにこ→意外と好成績。
 これが3回繰り返された後、同じように振り向くにこ…だけれど、部室で椅子に座って力なく振り向く引きつった表情、というオチにつながっています。
 ちなみにこのシーン、Bパート冒頭では部室の電気を消してカーテンを開けて窓明かりだったのが、部室に戻ってきた場面では部室の明かりを付けてカーテンを閉じていることから、外はもう暗くなってきている、という時間経過が窺えます(映像制作的には窓に映る室内を描かずに済ませ手間を減らすための工夫でもあるのでしょう)

とても素人の手作りとは思えない完成度のPV
 そこは突っ込んではいけないところでしょうか(笑)。それにしても凄い。

タロットカードの意味[検索]
 「カードも言ってるの。あの子達に必要なのは、エリチや」と希が示したタロットカードは星のカードの正位置です。2話でもタロットカードのお告げが登場し、そのときは、まぁ勢いとインパクトみたいなもんだろう程度に思っていたのですが、ここにきて改めてタロットカードの提示です。しかもわざわざ「星」のカードが意味深に提示されます。なぜこのカードなのでしょうか?すこし気になったのでカードの意味を調べてみると…。
 これはぜひみなさんも調べてみて下さい。思わず唸るというか、ちょっとびっくりすると思いますよ。
 いやぁ、こうなってくると2話のタロットカードも見方が変わってきますね。面白い。


 「ラブライブ!」第4話感想第5話感想第6話感想

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